問題山積の東京五輪延期~そして1年後に新型コロナは収束するのか
延期による追加費用は1兆円規模という見方も。
ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(4月2日放送)にジャーナリストの鈴木哲夫が出演。延期となった東京オリンピック・パラリンピックの追加費用の問題について解説した。
オリンピック延期の追加費用
新型コロナウイルスの世界的感染拡大によって、東京オリンピック・パラリンピックの開催が1年延期されることになった。しかし、一部報道では延期による追加経費が3000億円以上とも言われており、またどこが費用を負担するのかも不透明なままとなっている。
追加費用は3000億円との試算~1兆円規模との見方も
飯田)オリンピックは2021年7月23日に始まるという日付が出ていますが、費用の問題が立ちはだかっています。
鈴木)当然ですよね。延期すれば、いろいろなものに継続してお金がかかります。根本的なことは、1年後に果たして新型コロナウイルスが収束なり、薬ができるなりしているかというと、まだ何の保証もないわけです。1年後、もしこのままの状態だったらどうするのかという問題もついて回ります。追加費用が3000億円という試算もあるなかで、東京都の幹部に取材している限りだと、それでは済まないだろうとのことです。2倍ほど、つまり6000億円くらいになるのではないかと。また、民間のシンクタンク代表にも知人がおりまして、それによると6000億円でも済まないと。1兆円くらいのレベルになるのではないかということです。そもそもオリンピック予算は、招致のときには7000億円で「お金のかからないオリンピック」と言っていたのが、1兆3500億円になり、会計検査院の調査では3兆円を超えるほどに膨らんでいました。何にお金がかかるかというと、会場の維持費の問題があります。オリンピックが普通に行われていれば、その後のイベントなどで再利用の計画も組んでいたのです。維持費だけでも問題だから、どんどん再利用しなければいけないのだけれど、それが全部できなくなってしまう。そういうところで補償金の問題や、人件費の問題が出て来ます。数千人単位の人が関わっていて、それが1年延長された場合の人件費の問題。それから、最近ようやく取り上げられるようになったのが、選手村をマンションとして販売する件です。既に800戸以上が売れているのです。これが1年延期になると、入居や予定していた小学校の設立も遅れます。1年間まちづくりが遅れる影響も大きいわけです。
飯田)入居予定者に対しての補償も含めて。
鈴木)1年も遅れるのだったら住まないということで、値崩れを起こしたりすると、目に見えない費用の追加負担ということになります。この1年でコロナがどうなるのかわからないなか、とにかく経済的な影響が大きいでしょう。取材しているとそう感じます。
1年後に新型コロナが収束している保証はない
飯田)そういうこともあって、IOCの日本人理事の方が「1年で済むかどうかわからない」と、発表した直後に言っていたのですね。
鈴木)経済的影響や新型コロナウイルスの収束も考えると、2年延期がいいのではないか、と言う人たちもいたのですよ。ただ、トップたちが集まって1年にしましたよね。なぜ1年にしたのかという説明が十分にされていないので、ぜひ聞きたいところです。1年で最悪の結果になれば、1年という決断をしたところにも責任問題が出てしまいます。コロナ次第だと言えばいい加減な言い方ですが、間違いなく費用面での追加は出ますので、これにどう備えるのか。あとは、スポンサーがこれ以上お金をかけられるかどうか。コロナウイルスで景気が悪くなるなかで、そんなところに回しているお金があるのかということになると、スポンサーが撤退する可能性があります。1年延ばしたから万々歳ではなく、課題はたくさんあります。
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