「多分もう帰れないな」 雨宿りで怪異に行き合った女の子の漫画が不思議で考察したくなる(1/2 ページ)
アジサイの色はどうして変わるのでしょう?
日が暮れる黄昏時は、かつて「逢魔時(おうまがとき)」とも呼ばれていました。昼から夜になる直前、薄暗くなって相手の顔が見えづらくなるこの時間は、人間と怪異の見分けがつきづらくなる……現世と異界がつながり、魔物や妖怪がうごめき始める境目だとされていたのです。
今回ご紹介する作品は、この黄昏時を背景とした、奇妙で謎の多い物語です。
作者はフィビ鳥(@fibi_dori)さん。皆の創作漫画を楽しもう、というTwitter企画「漫画企画メリメロ」のお題「雨が止むまで待って」から着想、本作品を描き上げたとのこと。ハッシュタグは「漫画企画メリメロ #雨が止むまで待って」です。
黄昏時の堤防敷。急な雨に降られた女の子が、小さな林へ入って雨宿りをしています。向こうに見える橋が雨雲の境目になっているようで、女の子は沈む夕日とともに、その様子をぼんやりと眺めていたのですが……背後から「もしもし、あのう」と声を掛けられます。
林の中を見回す女の子でしたが、声の主は見つからない……その声は、林に咲くアジサイの茂みの中から出ていたのです。「雨が止むまででいいから、お話をしてほしい」という声に対して「それならいいよ」と快諾した女の子は、その声と他愛もないやり取りを始めるのでした。
ですが、声の話す内容が少しずつおかしくなっていきます。「あのう、車のなかってくさいですよね」「あのう、あじさいってこわいですよね」「あのう……」
女の子はふと、向こうの橋と夕日に目を向け、そして気がつきました。約束は、雨が止むまで。さっき見た夕日の位置が、雨雲の位置がまったく変わっていないのです。それを見て「多分もう帰れないな」と悟り、諦めかけた女の子でしたが……物語の怪異は最後まで、明確に語られることなく幕を閉じます。
話しかけた声の正体、アジサイの意味、女の子はなぜ現世へ帰れないと悟ったのか、などなど。作中で描かれた怪異と謎について、Twitterでは感想とともに、さまざまな考察が寄せられています。
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