やむをえない事情で“マスクをつけられない人”がいると知ってほしい 「わけがありますく」プロジェクトを取材
発達障がい、感覚過敏、脳の障がい、皮膚炎、呼吸器の病気などでマスクの着用が難しい人たちがいます。
「マスク着用」が習慣化する一方、さまざまな事情から“マスクをつけられない人”がいることを広めたい、との活動を行う人たちがいます。「わけがありますく」プロジェクトにお話を聞きました。
COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の流行防止のため、「マスク着用で外出」という習慣が浸透する一方、社会には発達障がい、感覚過敏、脳の障がい、皮膚炎、呼吸器の病気などでマスクの着用が難しい人たちがいる――と訴えるのは、臨床心理士による心理カウンセリングルーム「しまうまカウンセリング」を運営する株式会社しまうま。
マスクを着用していないことで風当たりが強くなり、トラブルも発生していることから、「意思表示バッジ」と「意思表示カード」を作成し、必要な人には無料で配布する他、意思表示カードは無料でダウンロードすることができます。
バッジはビニールバッジタイプと缶バッジタイプの2種類があり、それぞれ白い犬が×マークのついたマスクを手に「マスクをつけられません」と周囲にお知らせするデザイン。自治体の外郭団体、障がい者及び家族の援助団体・関係者、福祉施設、医療機関、特定非営利活動法人などを中心に送料無料で発送されるほか、個人でバッジを必要とする人には、送料(梱包手数料含む)の220円のみを負担することで発送されます。
「わけがありますく」プロジェクトは何故始まった?
ねとらぼ編集部では活動を行う「わけがありますく」プロジェクトを取材。プロジェクトスタートのきっかけなどを伺いました。
――早速ですが、本プロジェクトを始めたきっかけを教えて下さい。
「わけがありますく」プロジェクト:「マスクの着用ができないから外を歩くと白い目で見られ続けてつらい」「マスクを着けていないといつ暴力を振るわれるかと心配で怖い」という悩みを当事者と家族が持っていることを知り、身体障害者だった祖父と歩いたときの人々の無遠慮な視線を思い出しました。それでなんとかしなければと思い立ちました。
――バッジをデザインするうえで工夫した部分などありましたら教えて下さい。
「わけがありますく」プロジェクト:イラストについては、「お鼻が大きくて敏感かもしれない」というイメージから犬をキャラクターに選びました。「マスクをつけられなくて申し訳ないけれどよろしくお願いします」の気持ちが伝わるように、ご本人も見た人も安心できるような前向きな印象にしました。因みにキャラクターの名前は、お互いを知りたい「シロウ」と言います。
マークについては目立ちやすく、見たときに優しい気持ちになれるようなデザインを目指し、より多くの人が認識しやすいフォントを使用しました。
――バッジはビニール製と缶バッジ製の2種類が用意されていますが、素材を変えたのにはどういう狙いがあるのでしょうか。
「わけがありますく」プロジェクト:つける人が症状や状態に合わせて選択できるようバッジとカードを2種類ずつ作りました。ビニール製は金属の音や感触が苦手な感覚過敏の人向けに。缶バッジはたくさんの人に配布できるようにと考えました。
またカードについては、ぱっと認識できる赤の背景と、感覚過敏で赤が苦手な人向けに空色を選びました。
――これまでにどのくらい配布の申し込みや協力の申し出がありましたか。
「わけがありますく」プロジェクト:配布協力のお申し込みは40件ぐらいです。個人は150件ほどでしょうか。パソコンを開けるたびに増えています。
感染拡大防止策の徹底は急務である一方、さまざまな事情でマスクをつけられない人がいるということも知られる世の中になってほしいですね。
画像提供:「わけがありますく」プロジェクト
(Kikka)
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