終わらない“3.11”の希望、何度でも立ち上がる姿に涙 柴犬が主人公の漫画『柴ばあと豆柴太』連載第6回(1/2 ページ)
連載は最終回ですが、単行本の発売が決定しました!
新人漫画家・ヤマモトヨウコ(@YY0905)さんによる、自分を人間だと思っている柴犬が主人公の漫画『柴ばあと豆柴太』の連載です。講談社協力のもと、ねとらぼ生物部では日曜日に最新エピソードを掲載。漫画本編は次のページからすぐに読めます。
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第5話では、登場人物全員での食事中にテレビから3.11の特集が流れ、それぞれが大切な人を思う気持ち、そしてそれを届けようと海へ走る主人公・豆柴太の姿が描かれました。
今回は、柴ばあたちにとって大きな希望のニュースが飛び込んできます。しかし、ある日訪れた病院で柴ばあは残酷な現実を突きつけられて……。
道に迷っても、一緒なら大丈夫
元気な高校生の修司が「大変だ!!」と大きな声で知らせてくれたのは、隣町の遺留品がアラスカで見つかったという驚きのニュース。外国に流れ着く可能性があることは知っていても、震災から9年後、実際に行方不明者の車が発見されたことに「…信ずらんねえよ」と、柴ばあはその奇跡に手を震わせます。
柴ばあの大切な1人娘「さなえ」はあの日、車ごと流され、まだ見つからないまま。その悲しみにのまれる日も多かった柴ばあは「希望がわいできたなや!!」「私は必ずあの子は見つけっからよ!!」と、改めて決心を固めます。
今後について前向きになれる会話のあと、柴ばあは美波(修司の幼なじみ)に頭のケガを心配され久しぶりの病院へ。ご飯をウニのだしで炊いた「ウニ弁」をついでに持参し、付き合いのある医者のおじいさんに会うと、返ってきたのは「ベリーグッドな味だなや」という笑顔。そしてもう1つは、真剣な表情でした。「柴ちゃん(※柴ばあ)、よぐ聞ぐんだ……おめは――」。
帰り道、病院まで車で連れてきた豆柴太のことも忘れ、柴ばあは気づいたときには電車が迫ってくる線路に迷い込んでいました。間一髪のところで、必死に走ってきた豆柴太に助けられ、そこで先ほど医者に言われた「おめは、アルツハイマー型認知症がもしんねぇ」という言葉を思い出します。せっかぐさなえが見つかりそうってときに――娘と孫の顔を思い浮かべた柴ばあは、「なしてこんな私が生きてるんだべが?」と涙を流すのでした……。
そんなとき、側にいた豆柴太は、やさしい表情で柴ばあの頭をなでます。「大丈夫。柴ばあ大丈夫でつよ」「柴ばあがだれよりもガンバってるの、ボク知ってまつから」。その声自体は聞こえなくても、十分に心は通じる豆柴太の姿を抱きしめた柴ばあ。2011年3月11日、お互いに大切な相手を失った日に出会ったふたりは、その日もお互いに支えられ、強い思いと共に前を向いて歩くのでした。ラストの柴ばあの心からの叫び、何度でも立ち上がる姿に熱い涙がこぼれる……。
「柴ばあと豆柴太」の連載は今回で一区切り。続きについては決まり次第お知らせします。9月10日に単行本が発売決定! ヤマモトさんのTwitterでは、「豆柴太の命名秘話」エピソードも公開中なので、是非チェックしてみてください。
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