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「ごめん。新郎新婦は、おまけです」 ハレの日の“ケ”の瞬間を撮った写真集がほっこりすてき(1/2 ページ)

写真家の花井達さんにお話を伺いました。

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 結婚式の主役はもちろん新郎新婦。しかし、新郎新婦が見ていないところで、実は面白いことが起きているかもしれません。主役のふたりが見られなかった楽しい瞬間や感動的な場面を撮影した写真集『祝!結婚した』が赤々舎から発売されました。

 著者は写真家の花井達さん。花井さんは主に結婚式や家族写真などのポートレートを撮影しています。表紙の写真は、結婚式がお開きになると誰も新郎新婦のことを気にしていないグダグダな様子が面白いと思い、ふたりに立ってもらって撮ったそうです。このほか、12年間に渡り、さまざまな家族の結婚式の一日の瞬間を撮影した作品が収録されています。

 今回は花井さんに、結婚式の参列者を撮り始めたきっかけや印象に残っている写真などについて、お話を伺いました。

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── 結婚式の参列者を撮り始めたきっかけは?

花井さん:新郎新婦はもちろん主役ですが、新郎新婦から見ればそこにいる皆さんも主役同然。しかし、新郎新婦は式当日に起きている細部の出来事や、背中にある景色まで見られません。そこで、自由に動ける僕がふたりの眼となり、「こんなに楽しい瞬間があったんだよ!」と見せてあげたくて、これらの瞬間を意識して撮影してきました。

── どのような瞬間を撮りたいと思って撮影していますか。

花井さん:結婚式は非日常でありながら、日常の延長でもあります。結婚式だからこそ伝えられる、新郎新婦と列席者お互いの優しさを写したいです。あとは、意味の分からないまま連れてこられた子どもたちの奇想天外な動きを写した写真が、とても好きです。ひとことで言えば、ハレの日の“ケ”の瞬間です。

「ハレの日の“ケ”の瞬間」はトモコスガさんのツイートから引用

── 特に印象に残っている写真と、そのエピソードを教えてください。

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花井さん:新郎さんとお婆ちゃんが手を握っている写真です。

 こちらは、2008年2月末に撮影した前撮りの写真です。

 真冬に「前撮りの撮影をお願いします」とロケーション撮影を依頼されたので、「木々も寒々しいし、あと1カ月もすれば桜も咲くので、お急ぎでなければ春になってからではいかがですか」とお話をしました。しかし、新郎さんは「1カ月も残ってないんです」と。それは、大好きなおばあちゃんの事でした。

「おばあちゃんに花婿姿を見せたいから前撮りをする」

 病院で前撮り?? 当時の結婚写真は、結婚式を挙げる施設や、美しい光と背景のロケーション、スタジオで撮影するのがお決まりで、病院で結婚式の前撮り撮影をするなんて、見たことも聞いたこともありませんでした。

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 しかし、新郎さんの想いをどうしてもかなえてあげたくて、病院に同行しました。昨夜まで昏睡状態だったおばあちゃんは、その日は奇跡的に意識を取り戻し、花婿姿の新郎さんを認識しているようでした。僕は、引くほど泣きながらその光景を必死に写し続けました。

 結婚のお披露目は、人の気持ちが作っているものなので、病室でもどこでもできると思います。


 『祝!結婚した』は書店や赤々舎のWebサイトAmazon.co.jpなどで購入可能です。価格は2800円(税別)。

 また、8月に都内で開催されていた写真展「【写真家たちの新しい物語】花井 達写真展『祝!結婚』」は、10月に大阪と名古屋で巡回展を行います。

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