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直江津駅「さけめし」(1200円)~駅弁屋さんの厨房ですよ!(vol.22「ホテルハイマート」編-2)

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【ライター望月の駅弁膝栗毛】(初出:2020年3月3日)


えちごトキめき鉄道ET122形気動車・団体臨時列車「えちごトキめきリゾート雪月花」、妙高はねうまライン・二本木~新井間

開業5周年の「えちごトキめき鉄道」。

北陸新幹線の開業に伴い、新潟県内の旧信越本線・北陸本線を引き継ぎました。

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看板列車は、何といっても、週末を中心に運行される「えちごトキめきリゾート雪月花」。

途中の直江津駅では、列車の進行方向が変わるため、長めの停車時間があります。

この停車時間に行われるのが、「ホテルハイマート」による駅弁の立ち売りです。


ホテルハイマート・下井道夫さん、えちごトキめき鉄道・直江津駅

「駅弁屋さんの厨房ですよ!」第22弾・ホテルハイマート編。

今回は、「雪月花」の直江津駅停車時に、懐かしい駅弁の「立ち売り」を担当している下井道夫(しもい・みちお)さんに密着します。

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下井さんは、昭和23(1948)年・元日生まれの72歳で、立ち売り歴19年。

さあ、「雪月花」到着5分前、グッと力を入れ、重い籠を首から下げて、ホームへ出発です。


「えちごトキめきリゾート雪月花」を迎える、ホテルハイマート・下井さん

12時19分、小雪舞う直江津駅に、鮮烈な赤が印象的な「雪月花」が入って来ました。

下井さんは、手を振って出迎えます。

お邪魔した日は、糸魚川~直江津~二本木~上越妙高間の冬季特別運行。

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直江津駅での立ち売りは、12時19分~28分までの9分間です。

「雪月花」は車内での食事を含むリゾート列車ですが、果たして駅弁は売れるでしょうか?


ホテルハイマート・下井さんによる立ち売りの様子

列車のドアが開くや否や、「雪月花」のお客様が、下井さんを目指して駆け寄って来ました。

そして、ひとりひとり言葉とお金をやり取りしながら、駅弁を手渡していきます。

都市部の売店では、陳列棚から駅弁を選んだり、電子マネー決済が一般的になりましたが、週末の直江津駅には、昔懐かしい鉄道風景がいまも健在。

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鹿児島本線・折尾、肥薩線・人吉、奥羽本線・峠の立売りと共に「残したい鉄道風景」です。


さけめし

いま、下井さんから駅弁を買うなら、何といっても「さけめし」(1200円)!

昨年(2019年)秋、東日本エリアを中心に行われた「駅弁味の陣2019」で、見事、最高賞の「駅弁大将軍」に選ばれた話題の駅弁です。

「さけめし」は、平成13(2001)年に発売され、今年(2020年)で20年目を迎えるロングセラー。

「駅弁膝栗毛」でも、味の陣の注目駅弁の1つとしてご紹介しておりました。

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「さけめし」製造の様子

ホテルハイマートの魚介系駅弁は、山崎邦夫社長が自ら魚市場に足を運んで仕入れます。

社長のお目に適った肉厚な鮭だけが、三枚におろされて、二度焼きされます。

焼いて、秘伝のたれを塗って、また焼いて、ようやく駅弁にふさわしい焼鮭に…。

この丁寧に焼き上げられた鮭を1つ1つ、厨房の方が手でやさしく、大きな骨を取り除いて、ほぐしながら、汐昆布の炊き込みご飯の上に載せていきます。


焼き鮭のほぐし身で埋め、いくらの醤油漬けを添えて完成

一面、たっぷり焼き鮭のほぐし身で埋まると、いくらの醤油漬けが載って「親子」駅弁に!

これに奈良漬けとガリが、ご飯のお供として載せられていきます。

おしまいは、デザート代わりのあんずがちょこん!

セロファンシートを挟んでふたが閉められ、スリーブ式の包装がサッとはめられて、黄色い紐が十字に結ばれたら、ホテルハイマートが誇る「さけめし」の完成です!


さけめし

【おしながき】

  • 汐昆布の炊き込みご飯
  • 焼き鮭のほぐし身
  • いくら醤油漬け
  • 錦糸玉子
  • 奈良漬け
  • ガリ
  • あんず

さけめし

「さけめし」のキーワードは、「ふんわり」とした食感!

社長の鮭選びに始まり、板前さんの丁寧な二度焼き、やさしく手でほぐされていく身。

ホテルハイマートのみなさんが1つ1つの「さけめし」に込めた愛情、やさしさがあるからこそ、このふんわりとした食感が生まれ、「駅弁大将軍」への原動力になったのかもしれません。

丁寧な仕事は人の目に触れることはありませんが、商品となったとき、確かに現れるのです。


ホテルハイマート・下井さんのお見送り

9分の停車時間は、あっという間。

「雪月花」は、軽快なディーゼルエンジンの音を響かせて、直江津駅のホームを離れます。

乗客のみなさんと手を振り合うのも、心が通じ合ったような気持ちになれる温かいひととき。

国鉄時代から長編成の長距離列車が行き交った、直江津駅の長い長いホームの向こう、「雪月花」の赤い車体が小さく見えなくなるまで、下井さんは手を振り続けます。


ET122形気動車・団体臨時列車「雪月花」とホテルハイマート・下井さん

小学生のころから60年以上、直江津で暮らしているというホテルハイマートの下井さん。

普段は、直江津駅改札口を入った正面の売り場で駅弁を販売しています。

このホテルハイマートの駅弁は、これまで一体、どのような道のりを歩んできたのか?

「駅弁屋さんの厨房ですよ!」第22弾・ホテルハイマート編。

次回は、山崎邦夫社長の御子息、山崎知夫営業統括部長にお話を伺います。

連載情報

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史

昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。

駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/

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