ニュース

「キアヌ投げ飛ばした」「火だるまは得意」などパワーワード連発のドキュメンタリー 女性スタントの活躍描く映画「スタントウーマン」レビュー(1/3 ページ)

公開中のドキュメンタリー映画「スタントウーマン ハリウッドの知られざるヒーローたち」はパワーワード連発だった。

advertisement

 1月8日より、「スタントウーマン ハリウッドの知られざるヒーローたち」が公開されている。

(C)STUNTWOMEN THE DOCUMENTARY LLC 2020

 本作はその名の通り、アクション映画を支えてきた女性スタント、「スタントウーマン」の活躍にスポットライトを当てたドキュメンタリーだ。その評価はすこぶる高く、米映画批評サービスのRotten Tomatoesでは驚異の100%の支持率を達成している。実際の中身も、まずは「映画ファン必見」の、とんでもなく面白い内容であるということを告げておこう。さらなる具体的な魅力を、以下よりお伝えしていく。

「スタントウーマン」予告編

1:撮影裏で連発する名言や武勇伝

 本作は、予告編の時点で強烈なワードがめじろ押しだ。「車に撥(は)ねられる練習は…実際にはねられるしかない」「火だるまは得意」「キアヌ(・リーブス)を投げ飛ばしたわ」……実際の本編では少し字幕の表現は変わっていたりもするが、ニュアンスはほぼそのままである。

advertisement

 その他にも有名な映画の撮影裏、というか「一歩間違えば大ケガか、または死ねる」な逸話をたくさん聞くことができる。例を挙げるのであれば、「マトリックス リローデッド」で「バイクの後ろに人を乗せて最高で145キロ出したり、実際にトラックから飛び降りた」とか、「トータル・リコール」(1990)でアーノルド・シュワルツェネッガーに投げ飛ばされた揚げ句に監督に「激しく投げられていると顔が違うのは分からないんだ」と解説されるとか、「インディー・ジョーンズ/魔宮の伝説」での「ゴムボートで12メートルも滑って川に落ちたが救命胴衣のおかげで助かった」などなど、1つ1つがとにかく強烈だ。

「スタントウーマン」本編映像 「トータル・リコール」撮影秘話

 スタントウーマンたちが放つ言葉もまた、1つ1つが名言の域に達している。「車に当たる脚に体重をかけてなければ、簡単に体が浮く」「格闘はダンスみたいなものよ、夢中になって引き込まれる」「ムチ打ちや脳震とうはいつものこと。氷が最良の友よ」などなど、知られざる彼女たちのプロとしての矜持、そして才能と努力がここまでのアクションを作り上げたのだと、感銘を受けられまくるだろう。

 個人的に特に衝撃的だったのは、実際の本編で事故のシーンが使われているという「バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2」のエピソードだった。これはもう、実際に見てほしいとだけ言っておく。

 とにかく、「スタントウーマン ハリウッドの知られざるヒーローたち」は、「あの有名アクション映画の撮影裏のヤバいエピソードを知れる」というだけでも面白い内容だ。他にも、「キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー」や「キル・ビルVol.1」や「スピード」におけるスタントウーマンたちのエピソードもものすごいので、これらの作品ファンにもぜひ見ていただきたい。

画像はYouTube公式予告編より/(C)STUNTWOMEN THE DOCUMENTARY LLC 2020

2:女性スタントの歴史で分かってくること

 次々にスタントウーマンたちの「武勇伝」が語られる本作だが、ハリウッドの黎明期から続く、女性スタントの歴史、その雇用の問題も言及されている。

advertisement

 例えば、1970年台には災害パニック映画が人気で、女性スタントの需要を増やしたりもしたのだが、安全策もないまま危険な役をやっていたり、女性の役を男性スタントが務めることも多かったのだという。

 実際に、スタントパフォーマーたちの世界には”Wigging”という言葉があるそうだ。これは、女性の役のスタントをカツラ(ウィッグ)をつけた男性スタントが務める事を指している。これまでもベテランの女性スタントからは“Wigging”がは女性の雇用機会を奪うものであると声が上がり、その結果として映画産業におけるスタントウーマンという地位を作り上げてきたという歴史があるという。

画像はYouTube公式予告編より/(C)STUNTWOMEN THE DOCUMENTARY LLC 2020

 劇中では「男性スタントが女装する時に力不足を感じる。だからトレーニングに力が入る」「誤解や偏見をなくしたい」などといった、スタントウーマンたちからの、自らの地位向上や、女性だからこその働き方について語る場面もある。そして、この映画もまた、彼女たちの技術や努力に裏打ちされた、スタントウーマンの認知そのものを、世間に訴えかけている。

       | 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

記事ランキング

  1. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  3. 「タダでもいいレベル」 ハードオフで1100円で売られていた“まさかのジャンク品”→修理すると…… 執念の復活劇に「すごすぎる」
  4. 毛糸でフリルをたくさん編んでいくと…… ため息がもれるほどかわいい“まるで天使”なアイテムに「一目惚れしてしまいました」「うちの子に作りたい!」
  5. フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
  6. 餓死寸前でうなり声を上げていた野犬を保護→“6年後の姿”が大きな話題に! さらに2年後の現在を飼い主に聞いた
  7. 「申し訳なく思っております」 ミスド「個体差ディグダ」が空前の大ヒットも…… 運営が“謝罪”した理由
  8. 「懐かしい」 ハードオフで“30年前のPC”を購入→Windows 95をインストールしたら“驚きの結果”に!
  9. 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」
  10. 「釣れすぎ注意」 消波ブロック際に“カツオを巻いた仕掛け”を落としたら…… 驚きの結果に「これはオモロい!!」「こんなにとは」