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「キアヌ投げ飛ばした」「火だるまは得意」などパワーワード連発のドキュメンタリー 女性スタントの活躍描く映画「スタントウーマン」レビュー(2/3 ページ)

公開中のドキュメンタリー映画「スタントウーマン ハリウッドの知られざるヒーローたち」はパワーワード連発だった。

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 さらに、スタントウーマンたちが、それぞれの「強み」を語っていることも面白い。火災のスタントやカークラッシュを得意とするスタントウーマンがいるかと思えば、「学ぶ対象が多いから専門分野を持っていない」と答えるスタントウーマンもいる。彼女たちは「カツラをつけた男性スタントでいいよね」と思われないように、自己研さんを続け、自分でしかできない最高の仕事をしようとしていることが伝わるのだ。

 劇中のスタントウーマンたちの姿は、映画業界だけに限らず、男性が優遇されてしまいがちな現代社会全般でも通ずるものだ。女性が見れば彼女たちの努力を見て勇気や希望が得られるだろうし、男性が見れば「どこかで自分は女性を過小評価していないだろうか?」と危機感を持つこともできるだろう。

画像はYouTube公式予告編より/(C)STUNTWOMEN THE DOCUMENTARY LLC 2020

3:大切な連帯感と、それでも頭によぎること

 劇中では、女優とスタントウーマンたちの、まるで親友のようなやりとりを見ることができる。例えば、「ワイルド・スピード」シリーズに出演している女優のミシェル・ロドリゲスが「(スタントウーマンは)すごい努力や才能が必要。だから、あなたたちを心から尊敬する」と称賛の言葉を投げかけたり、共にカースタントをやって笑い合っていたりするのだ。尊い。

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 この「連帯感」は、実際の仕事においても重要なものとしても語られている。その第一の理由は、スタントに大ケガはもちろん命の危険もあることが理由だ。「怖がることは大事。怖かったら、その理由を考えて、不備な点を考える」と話すスタントウーマンもおり、スタッフたちと安全性を十分に熟考している場面も見られる。

 そして、劇中では痛ましい事故のことも言及される。一生付き合わなければならない障害を負ってしまった、そして命を落としてしまった仲間たちもいる。大ケガや年齢による引退も頭によぎる。彼女たちは、間違いなく仕事に誇りを持ち、楽しくそのことを語れたりもするが、それだけではない苦しみや悲しみも抱えているのだ。

 この「スタントウーマン ハリウッドの知られざるヒーローたち」は、映画の舞台裏で、「縁の下の力持ち」として活躍していた彼女たちの等身大の姿を見せることで、彼女たちが映画の一部となっていることを提示し、その素晴らしい仕事をたたえ、世に伝えるという、確かな意義がある。映画が好きであればあるほど、本作のスタントウーマンたちへのエールに感動できるはずだ。

 ちなみに、アカデミー賞ではたびたび「スタント部門」を新設するべきだとの声が上がっており、ヘレン・ミレンやジェイソン・ステイサムといったベテラン俳優の他、「ジョン・ウィック」シリーズのチャド・スタエルスキ監督も同様の訴えをしている。この映画を見れば、その声にきっと賛同したくなるだろうし、男性スタントだけでなくスタントウーマンの活躍にも賞をあげてほしい、と心から思えるだろう。

 なお、現在公開中の「ワンダーウーマン1984」や「新感染半島 ファイナル・ステージ」は、女性も激しいアクションをこなしている映画だ。どこがスタントウーマンによるものかは定かではないが、本作「スタントウーマン ハリウッドの知られざるヒーローたち」と合わせて見れば、彼女たちの活躍により思いをはせられるのかもしれない。

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ヒナタカ

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