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狂気の読書会を書籍化した『闇の自己啓発』、発売翌日に重版決定 既存の自己啓発に対する防衛術を語る(1/2 ページ)

noteで人気の読書会記事が本になりました。

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 『ダークウェブ・アンダーグラウンド』の著者、木澤佐登志さんらによるnote連載を書籍化した『闇の自己啓発』が、早川書房から1月21日に発売されました。映画「天気の子」といったポップカルチャーから思想書まで幅広いトピックを議論する濃い一冊となっています。そして発売翌日には重版が決定。著者の皆さんに、書籍化への思いを語ってもらいました。

 国内外のさまざまな思想やカルチャーを紹介する読書会「闇の自己啓発会」。『闇の自己啓発』は、この「闇の自己啓発会」による読書会記事を書籍化したものです。著者は、読書会メンバーの皆さんで、発起人の江永泉さん、木澤佐登志さん、エンジニアのひでシスさん、ライターの役所暁さんの4人。

 読書会で扱う題材は、映画「天気の子」や「ジョーカー」といったポップカルチャーから、海猫沢めろん『明日、機械がヒトになる――ルポ最新科学』などの新書、レオ・ベルサーニ&アダム・フィリップス『親密性』などの思想書まで幅広いのが特徴です。著者らの膨大な知識量や、とんでもない方向へ向かう議論が話題の連載。「普通の自己啓発に対する防衛術として『闇の自己啓発』を生み出した」という著者らの思想の根底には、一般的な自己啓発が現状肯定的なものであり、価値観の変革を求めるものにはなっていない、ということへの怒りがあります。

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 「闇」や「狂気」の読書会と言われるゆえんは、テクノロジーによる身体/精神改造の可能性を探ったり、リバタリアン(自由至上主義者)たちの脱法行為を観察したり、「人間は生まれないほうが良い」と主張する反出生主義に共感したりといった、アングラな思想を取り扱っていることです。突然「科学技術によって反出生主義を実践する」とか、「人類の幸福を最大化するなら、3000倍の快楽を甘受する人間を生み出してドラム缶に詰めるべし」とかぶっ飛んだことを言い出すのが面白いんですよね……。

 帯文は立命館大学教授の千葉雅也さん。「世界には不快な〈闇〉がある。本書は、その〈闇〉をたんに批判するのでも面白がるのでもない。生きて死ぬことの意味を問い直すために、〈闇と共に〉思考する必要があるのだ」と推薦文を寄せています。ぱっと見「怪しい自己啓発書かな?」とも思える『闇の自己啓発』ですが、紹介されるさまざまな思想・教養に圧倒される真面目(?)な本でもあります。「生きることがつらい人たちによる、それでも生きていくための必死なアイディア出し」と話題のこの本が、これからどこまで広がっていくのか、気になるところです。

著者コメント

江永泉:2年ほど前から続けていた読書会の一部始終が、たくさんの加筆修正と注記付きで、このたび本になりました。Web版の記事をご覧くださった方々、ありがとうございます! 書籍版も、読んで楽しんでもらえたなら、うれしいです。そして、あなたの生に資する本にもなっていたならば、それは著者冥利に尽きることです。快活に、笑える闇を。悩みにそっと、寄りそえる闇を。

木澤佐登志:世の中の書店にはいわゆる自己啓発書が氾濫しています。それらは、まず規範となる生き方を示した上で、そうした生き方に近づくことこそが成功であり、人生の目的であるかのように喧伝(けんでん)します。外から与えられた解答や目的に向かって生きるのではなく、自らの生を1つの「謎」として生きること。闇の自己啓発はそのような生き方を提案します。自身の内にあるえたいの知れない闇、それに光を当てて消し去ってはいけません。さあ、あなたの闇を慈しみ、あなたの闇を育みましょう。

ひでシス:「この現実こそが理想の世界に他ならない。だから置かれた場所で咲きなさい」という自己啓発書が前提としていた世界観が、コロナ禍によって崩れつつあります。今なら、もしかしたら、現実を巻き戻して現実が作った夢の代わりに、人々が見た夢を本当の理想として再配置することができるのではないか、と期待しています。

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役所暁:「闇の自己啓発」という営みは、ある種のブックガイドであり、本や思想との対話の場であると考えます。本書の中ではさまざまな本や思想、コンテンツが紹介されています。そして、実際の生活で話の合う人がいなくても、こうした本の中や別の場所に赴くことで、話が通じる相手に出会えることもあります。『闇の自己啓発』をきっかけに、皆さまが良き本や思想と巡り会えることを願っております。

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