花魁の裏の顔はバンパイアハンター―― 18世紀長崎を美麗に描くファンタジー漫画に引き込まれる(1/3 ページ)
長崎弁や「おくんち」の描写は、長崎県民にも好評。
異文化交流で栄える長崎の町で、美しき花魁(おいらん)がバンパイアハンターとして異形を討つ――。架空の江戸時代が舞台の、華やかなファンタジー漫画が読者をぐいぐい引き込んでいます。作者は漫画家の町田とし子(@matidatosiko)さん。
時は18世紀、「おくんち」の祭でにぎわう長崎の江戸町で、異様な死体が発見。それは異国の商品が妙薬と称して出島にもたらす、「ミルラ(ミイラ)」のように乾き切っていました。
捜査にあたった長崎奉行所の与力、相模壮次郎は少々とぼけた人物。死体見分を早々に打ち切り、着任したばかりの部下、田村弥七郎を連れて「山」へ繰り出します。いざ着いてみて、「山」が「丸山遊郭」の隠語と知って真面目な田村はあきれますが、それはれっきとした捜査の一環でした。
廓で待ち受けていたのは、獣の耳を持つ不思議な少女と、浮世離れなまでに美しい紅毛人(江戸時代に用いられたオランダ人の呼称)の花魁「雛菊」。異国だけでなく「異形」ともつながっている“この長崎”の事情に明るい彼女らは、陰ながら奉行所に協力しているのです。
例の死体と関係があるだろうかと、相模が持ち込んだ「指のようなもの」を見て、何かを察する雛菊。ボディガードにと田村を連れ歩く夜の町で、事件の真相と対面します。闇から2人に襲いかかった怪異の正体とは――? 結末はぜひ、漫画全編でお確かめください。
読者から「最後まで目が離せない」「読み切りと言わずシリーズ化してほしい」と称賛されたこの漫画。ていねいに描かれた長崎の風物も魅力的で、長崎県民からも「地元民としてはあちこちの描写にニヤニヤしてしまう」「長崎弁がナチュラルで実家のような安心感」と好評です。
作品提供:町田とし子(@matidatosiko)さん
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