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「食えない君も好きなんだ」 美しい妖怪に2つの意味で“狙われる”高校生 「送り狼」の伝承を描いた漫画にドキドキ(1/2 ページ)

送り犬は非常にバリエーション豊かな妖怪です。

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 日本各地に伝承が残り、それぞれ呼び名や特徴に違いのある妖怪「送り犬」。この怪異に共通するのは「なんらかの動物(主に犬か狼)の外見をしたモノが、夜の山道を歩く人の後ろをつけてくる。その最中に転ぶと喰い殺されてしまうが、即座に“転んでいない”とごまかせば襲われない」というものです。

 今回ご紹介する作品には、送り犬の一種である「送り狼」が登場するのですが……送り狼にまつわる、ひとつの伝承を強調した内容となっています。

 帰宅する男子学生を待っていたのは、独特な雰囲気をまとう美しい女性でした。ふたりの口ぶりから見るに、女性は毎日のようにここで学生を待っていて、通学路の森の中を抜けるまで、学生の後ろをついて「送って」いるようです。

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 学生が森の道を通るのには理由がありました。どうやら彼は「怪異側から見ると最高のごちそう」で、さまざまなモノに命を狙われている様子。ですが女性がいればそれらが近づいてこないらしく、「あなたがいるこの道が一番安心できる」と一定の信頼をおいているようです。

 会話を重ねながら歩みを進めるふたりでしたが、学生は何かにつまづいたらしく、地面に膝を落としてしまいます。この女性は、先を歩く人間が転んだら、それを即座に喰い殺してしまう「送り狼」。「そうしたら私はキミのこと、食べていいんだよね」と、その本性を現すのですが……。

 学生はすぐさま「石がお金に見えたので拾おうとしたのだ」とごまかします。それを受けた送り狼は納得し、次の瞬間には女性の姿に戻っていたのでした。

 そして彼女は「次からは、道にある石をすべて取り除いておく」と、言い訳の幅を狭めるような言葉を続けます。その上でこうも言いました。「だから明日も明後日も、ここを通るといい」と。

 森の中では学生を守り、「食えないキミも好きなんだ」と言いつつも、本当は食べてしまいたい……どうにも歪な愛情を抱くように見える送り狼。なぜか怪異に好かれる男子学生。徐々に言い訳の幅が狭まるであろうこの先、ふたりはいつまで良好な関係を保てるのでしょうか……。

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 作者は漫画家のtomomi(@tadaresan)さん。WEBコミックガンマぷらすにて、この漫画を元にコミカライズされたアブノーマルサスペンス作品『八月九日 僕は君に喰われる。』が連載中。また、単行本の第2巻が2021年2月27日に発売予定です。

たけしな竜美

作品提供:tomomi(@tadaresan)さん

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