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「忍たま乱太郎ともののけ姫で見た」 室町時代の生活を再現した遺跡の展示がすごいと話題 担当者に見どころを聞いた(1/2 ページ)

歴史に思いをはせ、ゆったりとした時間を過ごせそうです。

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 「室町時代の生活を再現した展示を見てきた。これは妄想の解像度が上がる…」。こんな投稿がTwitter上で話題になっています。好きな作品の時代背景が分かる展示を見ると、妄想がはかどりますよね……!

 話題になっているのは、室町時代に存在した伝説の町の復元展示「よみがえる草戸千軒(くさどせんげん)」で、「ふくやま草戸千軒ミュージアム」(広島県立歴史博物館)で公開されています。同館とツイート投稿者に、展示の魅力について話を聞きました。

 「草戸千軒町遺跡」は、鎌倉時代から室町時代にかけて栄えた港町・市町の跡。長く川底に埋もれ、名前のみ知られる伝説の町となっていましたが、大正末年に始まった広島県・芦田川の改修工事によって発見されました。

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 ふくやま草戸千軒ミュージアムの常設展示「よみがえる草戸千軒」は、この失われた町並みを屋内に再現したもの。実際に訪問し、写真をTwitterに投稿した里村さん(@stmr_dikr)は、「夏の夕暮れ、という設定で展示を作ってあるそうで、ヒグラシの鳴く声が聞こえてきそうなリアルさでした」とコメント。撮影可能エリアがあるので、カメラ片手に写真撮影も楽しめます(掲載している画像は全て撮影可能エリアのものです)。

 Twitter上ではこの投稿に対して、「広島にこんなすてきな場所があるなんて! 絶対行きたい!」「忍たま乱太郎ともののけ姫で見た感じ」「これだけ緻密に再現するなんて、ものすごい情熱と努力が忍ばれる。研究者の方々がいなければ、過去の時代なんて何にも分からないもんね」といった声が寄せられています。里村さんに、同館を訪問した感想を聞きました。

――「ふくやま草戸千軒ミュージアム」を見学した感想をお聞かせください。

里村さん:私自身、福山市の出身でして、小学生のころから当該施設へは何度もお邪魔していました。ただ、子どものころは地元の歴史に興味がなかったため、展示の奥深さや面白さを理解できていませんでした。大変もったいないことだったと思います。

 大人になり、「忍たま乱太郎」「落第忍者乱太郎」という作品に出会い、室町時代の庶民の生活に興味を抱いたことで、「ふくやま草戸千軒ミュージアム」さまの展示を思い出し、再度足を運ぶことになりました。

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 映画やドラマ、映像化作品では目にする機会の少ない「室町時代の庶民の暮らし」が分かりやすく展示してあり、原寸大の再現展示では、当時の空気感まで肌で味わえるようで大変感動しました。福山出身者として、改めて地元の素晴らしさを再認識した次第です。

 今回は自分のツイートがこれほど拡散するとはまったく予想もしておりませんでした。同じ作品が好きなお仲間に届けばいいと思って呟いただけですので、大変驚いております。私の予想以上に、室町時代の庶民の暮らしに興味のある方が大勢いらっしゃったのだなあと感じています。

 博物館の担当者にも、展示のこだわりやSNSの反響について聞きました。

――「よみがえる草戸千軒」に関するTwitter投稿が話題になっているのはご存じでしょうか?

担当者:恥ずかしながら、ご連絡いただくまで知りませんでした。反響の大きさに驚いています。投稿していただいた方には大変感謝しております。

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――問い合わせや来場者数の増加など、SNSで話題となった影響は感じていらっしゃいますか?

担当者:今週は、若い方が一人で見学されている姿を何度か見かけ、普段博物館を訪れない年齢層の方が来館していると感じました。このTwitter投稿がきっかけとなって、来館者が増えてくれることを期待しています。

――「よみがえる草戸千軒」は江戸時代中期の地誌『備陽六郡志』に記された伝説の町を復元したものと聞きます。「草戸千軒町遺跡」の特徴と歴史的意義について教えてください。

担当者:「草戸千軒」とは、鎌倉時代から室町時代にかけて栄えた港町・市町の跡「草戸千軒町遺跡」のことです。長年にわたる発掘調査によって、中世の瀬戸内に栄えた町の様子や、中世の暮らしが明らかになりました。

――「草戸千軒」を再現するに当たってこだわっている点などはありますか?

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担当者:調査研究成果を基に、ホンモノにこだわりました。こだわった一例としては、家の中の日用品や食事、市場の商品、建物・道・船着場などがあります。そしてここにはトンボやセミ、カエルなど、たくさんの生き物も暮らしています。初夏のたそがれの雰囲気を演出する照明は、照明学会の普及賞に輝いており、展示室全体で皆さまを中世への「時間旅行」にご案内します。

――「よみがえる草戸千軒」を含めた貴館の見どころを教えてください。

担当者:当館は中世の港町・市町である草戸千軒町遺跡を中心に、瀬戸内の歴史と文化をテーマとした博物館です。「草戸千軒町遺跡の出土品」や「近世後期の漢詩人・教育者である菅茶山の関係資料」のほか、4月からは「日本屈指の古地図資料を集めた守屋壽コレクション」も常設展示する予定です。また、3月14日まで、早春の展示「中世ものづくり」と題して、中世の暮らしを支えた道具の数々を紹介する展示会を行っています。コロナが終息したら、「VR遣明船」の乗船体験も再開する予定です。

――博物館の運営に当たって、コロナ禍の影響は感じられますか?

担当者:感じています。来館者が大幅に減少しました。新型コロナウイルス感染症の感染予防と拡散防止対策を徹底していますので、安心してご来館いただければと思います。

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――感染症対策などはどうされていますか?

当館では、新型コロナウイルス感染症の感染予防と拡散防止のため、来館者への検温、緊急連絡先記入・マスク着用のお願い、手指消毒用アルコールの設置のほか、「三つの密」を避けるため、近くの方と1メートルほど距離を空けての鑑賞、混雑時の入室制限などの対策を行っています。

――来場者へのメッセージなどがあれば一言お願いします。

担当者:「よみがえる草戸千軒」に足を踏み入れると、中世にタイムスリップした感覚を味わえます。福山市にお越しの際はぜひお立ち寄りください。

令和の庶民が室町の庶民の暮らしを訪ねる

 時代劇などでもあまりなじみのない、室町時代の庶民の暮らし。しかし「ふくやま草戸千軒ミュージアム」ではそういった知られざる暮らしについて学ぶことができます。当時の人々の息遣いが聞こえてきそうな同展示に多くの関心が集まったのは、さまざまな作品の影響、そして失われた庶民の日常への郷愁があるのかもしれません。里村さんは「コロナ禍でまだ移動の難しい世の中ですが、令和の庶民が室町の庶民の暮らしを訪ねる、そういうことが早く簡単にできるようになるといいなあと願ってやみません」とコメントしています。

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