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「バーチャルセックス」体験したらすごかったし人類を滅ぼしかねないと思った話 【バーチャル美少女ねむの寄稿】(2/2 ページ)

美少女の身体で「セックス」してみたい? バ美肉VTuberが公開生配信!

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バーチャルセックスのメリットとデメリット

バーチャル美少女ねむ(左)とバーチャル男の娘の姫乃あんり(右)/ VRChat ※バーチャルセックスはX-Oasisで行いました

 バーチャルセックスのメリットとして、

  1. 遠く離れた相手と行為に及べること
  2. 自分と相手の現実の性別の制約から開放されること

が考えられます。これらは実際に公開生配信により証明できたと考えます。

 加えて、これまで性行為からどうしても切り離すことのできなかった、妊娠・感染・暴力の三大リスクが排除されます。これについては、性行為どころか人間社会を根本的に一変させるインパクトになりうると考えており、後述します。

 デメリットとしては、VR機器の所有と習熟が要求されること。また、現時点で一般的なVRで再現可能なのが「視覚」「聴覚」だけであることから、バーチャルセックスを十分に楽しもうとすると、感情移入の能力や、後述する「VR感覚」(ファントムセンス)の適性を求められることが挙げられます。

「VR感覚」(ファントムセンス)で「感じる」

 配信後「これは現実側はどうなっているの?」という質問を多くいただいたのですが、実は特別なことは一切していません。現在一般的なVR機器を使っているだけなので、実際に物理的に再現される感覚は「視覚」「聴覚」だけです。電動で肉体を物理的に刺激する装置なども開発が進められていますが、今回は一切用いていません。

 配信中に私がアバターの身体を触られて感じているような場面がありますが、これは私の感情移入と「VR感覚」(ファントムセンス)によるものです。

バーチャル美少女ねむ(左)とバーチャル風俗嬢karin(右)/2020/5/29 X-Oasis

 ある刺激に対して、本来あるはずの感覚だけでなく異なる種類の感覚を生じる知覚現象を「共感覚」といいます。女性の高い声を「黄色い声」などと言うように、音に色を感じる現象などが有名です。

 現在ソーシャルVRで、アバターの身体が他の人に触られたときに「実際に触られたような感じがした」と多くのVRユーザーが報告しています。この現象は共感覚の一種で「VR感覚」(ファントムセンス)と呼ばれています。アバターの身体を脳が実際の身体と誤認識することによって、触覚・匂い・温度感覚などを疑似的に感じる現象です。

 感じる感覚の有無や強さには個人差が激しく、まだ本格的な研究はこれからの分野ですが、訓練や催眠術により後天的に感覚を強めることができると経験的に分かっており、VRかいわいでは俗に「VR感覚を生やす」などと呼ばれています。人間には存在しない猫耳や尻尾が触れている感覚を感じたり、異なる性別の器官で感じたり、さまざまな応用ができそうです。

 これをバーチャルセックスに応用することによって、適性が極めて高い場合は、自分の体に一切触れずに視覚と聴覚だけでオーガズムに達することも可能だそうです。それほどでない場合には、並行して自分で自分の身体を触るなどの工夫が必要となるでしょう。

 私は特別な訓練など一切していませんが、ある程度VR感覚の適性があったことも、行為を楽しむことができた理由の1つとして大きそうです。

 2021年1月には、大田区区議会議員でVTuberの「おぎの稔」議員もVR風俗「X-Oasis (クロスオアシス)」の体験を公開生配信したのですが、正直私ほど感じているように見えなかったので、かなり個人差があると思われます。誰でも後天的にバーチャルセックスを楽しめるレベルまで「生やす」ことができるのかは、まだ分かりません。

2021年は「バーチャルセックス元年」となる

ChilloutVR - Mature Content Access

 2021年2月に一般公開された新興ソーシャルVR「ChilloutVR」では「成人向けの内容」を表示することを許可するオプションが用意されており、VRかいわいで大いに話題になりました。実は、現在最も利用者の多い「VRChat」を始めとして、これまでのソーシャルVRでは一般的に「ポルノに該当する内容」の共有などはユーザーの年齢にかかわらず規約上一切禁止されていました。つまり、ChilloutVRの登場により、はじめてVR風俗嬢などでない一般人が、専用ソフトなどを自分で開発しなくても、気軽にバーチャルセックスの模様を他人に共有したり公開する可能性が開かれたのです。

 ChilloutVRの存在によってノウハウの公開が始まり、加速度的にバーチャルセックスが広まることが予想されます。今後この成人向けコンテンツの許可が一般的になった場合、競合のバーチャルSNSも年齢制限をかけた上で規約を緩め、後に続くことも予想されます。

 2021年、ソーシャルVRにおいて、バーチャルセックスが一般に開放された。

 これが、私が2021年を「バーチャルセックス元年」と考える理由です。

バーチャルセックスは性と社会の在り方を変える

 バーチャルセックスの開放により、妊娠・感染・暴力という3大リスクが性行為から排除されると何が起こるのでしょうか?

バーチャル美少女ねむ(左)とバ美肉風俗嬢feath(右)/2021/1/23 X-Oasis

 従来セックスは生殖のため必要不可欠であるに関わらず、文明社会において「嫌らしいこと」「はしたないこと」として、オープンな場では行ってはいけない「秘め事」とされていました。それはセックスに伴うリスクから身を守り、社会が乱れるのを防ぐため当然のことです。

 バーチャルセックスには、それらのリスクは存在しません。極端な話、もはやバーチャルセックスは「嫌らしくない」「はしたなくない」「秘め事ではない」という考え方もできるかもしれません。そうなるとセックスは一般的な自己表現手段の1つとなり、例えば一般人でも情事の共有や公開が一般的になるかもしれません。

 バーチャルセックスでは、生殖と性行為が完全に分離されます。原理的には、誰もが、完全に楽しみのためだけにセックスをすることが可能です。理論的には、相手の物理的な性別を選ばず、あらゆる相手がセックスの候補者になりえます。

 人類学者のジャレド・ダイアモンドによれば、実は男女のカップルを作るヒトの性行動は霊長類の中でも非常に珍しく、未発達な状態で生まれて来る乳児を男女のカップルで育てるための、非常にユニークな特徴だそうです。それは、人の心を、男女のつがいを、群れを、そして人類社会全体を形成するための根源的なプロトコルです。

 例えば、同じ霊長類であるボノボ(ピグミーチンパンジー)は、緊張が高まった相手と疑似的な性行為を行い争いを避ける、驚くべき性行動で知られています。さらに、相手の性別を問わず、同性同士でコミュニケーション手段として性行為を行います。ボノボは固定的な夫婦を形成せず、序列のない平和的な乱交型の群れを形成します。

 性行為という社会の基本プロトコルが書き換わったとき、われわれの社会もまた、大きく変貌を始めるのかもしれません。

バーチャルセックスで人類は滅ぶのか

バーチャル風俗嬢karin(左)とバーチャル美少女ねむ(右)/2020/5/29 X-Oasis

 しかし、いいことばかりとは限りません。仮に現状のバーチャルセックスの課題が解消され、従来のセックスに対し支配的になった場合、当然の帰結として、人類は子孫を残さなくなり滅んでしまうのではないか? という懸念が挙がると思います。映画「デモリションマン」とは逆に、人類滅亡を防ぐため、バーチャルセックスが法的に制限されるようなことも将来的には十分に考えられるのではないでしょうか。

 あるいは、攻殻機動隊のように、従来の性行為の次元を超えた、全く新しい自己表現手段・コミュニケーション行為となるのでしょうか。

 バーチャルセックスは、旧人類に贈るレクイエムか、新人類への福音か。

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