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プロが本気で撮ったポケモン見たくない? 『ポケモンスナップ』で写真に目覚めたフォトグラファーが語る「博士に何を言われても撮りたい作品」(1/2 ページ)

「ポケモンスナップ」をきっかけにプロの道へ進んだフォトグラファー・AYATO.さんにインタビュー。

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 2021年4月30日の「New ポケモンスナップ」発売から約1カ月が経過しました。

 22年ぶりの完全新作で、並々ならぬ期待を抱いていた前作ファンも多い同作。そんな経験者をまず驚かせたのが、プロカメラマンとして成長した前作主人公・“トオル”の再登場でした。彼の出演は完全にサプライズでしたから、直撃世代の皆さんは「おいお~い!! 来るなら連絡しろよ~!!」と同窓会気分を味わったのではないでしょうか。旧友と顔を合わせる機会が減った昨今、パラスに炎技を撃つように効果抜群だったといえるでしょう。

 そうした中、懐かしいトオルの顔を見て、単なる“郷愁”以上の感情を覚えた人もいます。「ポケモンスナップ」をきっかけに写真の道に進んだプロフォトグラファー、AYATO.さんです。

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 AYATO.さんはアクション撮影を中心に活躍するフォトグラファー。その原点は「ポケモンスナップ」にあるといい、Twitterのサブアカウントに“プロのカメラマンが本気で『New ポケモンスナップ』に挑んだ写真”を投稿しています。

 AYATO.さんが撮影するポケモンからは、生命力が発露する瞬間を切り取ったような、エネルギッシュなかっこよさ・美しさが感じられます。静止画なのに「動いてる!!!」と思わせる躍動感。どうすればこんな写真が撮れるのでしょうか?

 プロ目線で見る「New ポケモンスナップ」の面白さ、写真撮影に使えるスキルなど、ますますゲームが楽しくなる話をAYATO.さんに聞きました。

博士に何を言われても「伝えたいもの以外は省く」! “ポケモンの魅力”と“自分の個性”を引き出すために

――まずはAYATO.さんのプロフィールをお聞きしてもよろしいでしょうか。普段はどのようなお仕事をされているのですか?

AYATO. アクションフォトグラファーとしての活動がメインです。代表的な仕事では、RED BULLの契約フォトグラファー、ダンスプロリーグ「D LEAGUE」のオフィシャルカメラマン、ダンスチーム「RAB(リアルアキバボーイズ)」の専属カメラマンをしています。

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――人とポケモンの違いこそあれ、アクションの最高の瞬間を捉えるという意味では、通じる物を感じますね。「ポケモンスナップ」をきっかけに写真の楽しさを知ったとのことですが、詳しく教えていただけますか?

AYATO. 今でこそスマホで気軽に写真を撮れますが、当時は小学生がカメラに触れる機会なんてそう多くありませんでした。11歳だった僕にとってもそれは同じで、写真撮影自体が特別な体験だったんですね。

――カメラを持つとちょっと大人になったような気持ちになりましたよね。

AYATO. 「ポケモンスナップ」は、そんな特別な体験を子どもながらに味わえるゲームで、ずっと飽きずに遊んでいました。自分でシャッターを押したタイミングが形として残ることがとにかく楽しかった記憶があります。

 そこから写真に興味を持ち、親からカメラを借りて近所の風景写真を撮り始めた原体験が今の仕事につながっています。

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――それだけ思い入れがあるなら「New ポケモンスナップ」が発表されたときも相当うれしかったのでは?

AYATO. それがそうでもなくて、正直なところ「あーー懐かしい、また出るんだ」くらいの感覚でした(笑)。今思えば、うれしすぎたからこそ、発売までの期間を長く感じるのが嫌で、本能的に感情を抑えていたんだと思います。発売日が近づくにつれてそわそわするようになり、当日は午前中から買いに走っていました。

――そんな発売の興奮冷めやらぬままにトオルが登場し、冒頭のツイートにつながったわけですね。他に第一印象で心動かされた点を教えていただけますか。

AYATO. 1番を挙げるのであれば、ポケモンが自然体で生活していると感じた点です。ポケモンが画面の向こうで、しっかり生きているなと。

――今作は「ポケモンの生態」がコンセプトのひとつになっているそうで、相当力を入れた部分なのだと思います。

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食事したり、縄張りを争ったり、生きたポケモンたちの姿が描かれている

AYATO. そうですね。このゲームを企画・制作した皆さんは、ポケモン愛にあふれた方々なんだろうなと強く感じました。

――フォトグラファー目線で進化したと感じる点はありますか?

AYATO. ボケ感の調整やトリミング、加工機能が追加されて、同じ場所から同じポケモンを撮った場合でも、他の人とは違う自分らしさを出せるようになりました。(プロとして)写真を撮る上では、他の人と違う“個性”の発揮がとても重要ですから、よりカメラマンらしい体験ができる方向に進化したと感じています。

――なるほど。それでは、AYATO.さんは“個性”を出すために、どのような工夫をされているのでしょうか?

AYATO. 僕の場合は「伝えたいもの以外は省く」を徹底していますね。

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 例えば「かわいい」と思える写真が撮れたならば、その写真のどの要素が「かわいい」と思わせるのかを考えるんです。

 「表情がかわいい」のであれば画面いっぱいに顔が写るようにしますし、他のポケモンや背景との「関係性がかわいい」なら必要な要素のみを画面に入れます。写っていなくても構わないものは、極力入れないようにしています。あくまで僕の方法ですけどね。

――博士を喜ばせようと“あれもこれも”と盛り込みすぎても良くないわけですね(笑)。加工に関するこだわりも教えていただけますか?

AYATO. 加工の考え方も同じです。まずどう見せたいかを考えて、テーマに沿った加工だけを選んでいけば、自然と自分らしい写真になっていくのではないでしょうか。

 例えば、コントラストを上げれば強く鮮やかに見えますし、下げれば軽くあっさり見えます。感覚的で正解もない難しい工程ですが、チャレンジした先に自分の個性が生まれると思っています。どの加工でどう印象が変わるのか、自分の感覚を大切にしながらいろいろ試してみてください。

「雨フレーム」を使った写真。加工を使えば写真に物語を持たせられる

 ポケモン対戦が時間泥棒な“沼”であることはファンに周知の事実ですが、“正解がない”点で「ポケモンスナップ」は対戦以上に底が見えないコンテンツかもしれません。

 AYATO.さんは6月1日より自身のTwitterで「New ポケモンスナップ」の写真コンテストを開催中。既にカメラを置いてしまった人も、こうした交流をモチベーションに、“誰かに見せたい”と思えるような、自分だけの個性が輝く写真に挑戦してみてはいかがでしょうか。

 次ページには、AYATO.さんが撮影したお気に入りの写真をコメント付きで掲載しています。あなたの写真をもっと魅力的にするヒントになるかもしれませんよ。

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