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【新作映画鑑賞券当たる】『竜とそばかすの姫』と明治安田生命のコラボCMが細田守監督の作家性と絶妙にシンクロした理由

スタジオ地図が制作を手掛けたCM「亜希のちかい『竜とそばかすの姫』」篇。定番モチーフの「入道雲」など細田守監督の作家性が表れているコラボ演出に注目です。(提供:明治安田生命保険相互会社)

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 2021年7月16日に公開予定の映画『竜とそばかすの姫』と、明治安田生命がコラボレーションしたCMが公開された。

特別バーションCM「亜希のちかい『竜とそばかすの姫』」篇

 制作を手掛けたのは「スタジオ地図」。『時をかける少女』『サマーウォーズ』『おおかみこどもの雨と雪』『バケモノの子』『未来のミライ』などで知られるアニメーション映画監督の細田守監督と、確かな腕を持つスタッフたちが所属する。その最新作『竜とそばかすの姫』の美しい劇中シーンをふんだんに使用し、映画本編への期待が大きく膨らむ内容となっている。

 本CMの美点は、短い時間に尊いメッセージ性を込めたこと、それが細田守監督の作家性と絶妙にシンクロしていたことにもあった。その理由を記していく。

若手職員を主人公にする試み

 本CMの主人公である「亜希」は、保険商品の若手営業職員である女性。彼女は「本当のやさしさとは何か」を考え、自身の仕事への想いについて語る。

「亜希」はこのCMのオリジナルキャラクターである

 テレビで普通に目にする保険のCMと言えば、月々の掛け金や保証内容、はたまたどれだけ親身にお客さまと接するか、といった顧客へのアピールが主だろう。だが、この「亜希のちかい」は、 サービスを提供する側の視点に立ち、悩みに悩む若手職員を主人公にすることで、働く者たちを励まし、応援するという内容となっている。

 「もしもの時のために備える」という保険の構造は、相手のことを考える「やさしさ」があってこそ存在するものだろう。若手職員がそのやさしさを「がんばる」という尊い想いは、きっと顧客側にも伝わるはず……そんな希望が込められたCMに思えたのだ。

定番のモチーフに託したこと

 本CMにはスタジオ地図の「らしさ」を強く感じる。風になびく髪や、太陽の光の表現などのアニメーション技術の質の高さはもちろん、最後に映し出される「入道雲」は細田守作品では定番のモチーフとなっているからだ。

 冒頭で主人公の亜希は、その悩みによるモヤモヤを表すかのように、曇り空の中にいる。だが、後ろから光が差してきて、振り向いてから亜希は「それが、私の仕事だから」と堂々と肯定し、そして澄み渡っていく空に浮かぶ入道雲をバックに「私は、私のやさしさを、がんばる。」と宣言する。

亜希は初めこそ曇り空の中にいたが、最後には入道雲の前で「私は、私のやさしさをがんばる」と宣言する

 細田守監督は、自身の作品で入道雲を描く理由について「入道雲はモクモクと成長していく。主人公がささやかな一歩かもしれないけれど、少しずつ成長するので、そのテーマを象徴的に入道雲に託している」と答えていた。

 主人公の前向きな考え、そして決意に至り歩みだすまでの成長の過程が、大きくそびえ立つ入道雲に重なっていく……。わずか30秒ほどのCMだが、主人公が成長した(している途中の)姿を入道雲に重ねる演出、それをもって晴れ晴れとした自己肯定の物語となっていることが、これまでの細田守作品と重なるのだ。

劇中シーンとのシンクロ

 実は、元々の「亜希のちかい」は2020年10月に公開されている。こちらでは『時をかける少女』『サマーウォーズ』『おおかみこどもの雨と雪』『バケモノの子』『未来のミライ』と、これまでの細田守作品の主人公たちが主体的に未来を選択し、切り開いていくバイタリティや生命力を描いた劇中シーンが使われており、前述した「登場人物が入道雲のように成長していく」イメージを表現している。

通常バージョンCM「亜希のちかい」篇。これまでの細田守作品における「誰かのためにがんばる」「笑顔になる」といった劇中シーンが使われている

 対して、今回の特別バージョンで挿入される作品は『竜とそばかすの姫』のみ。曇り空の中で佇む亜希とシンクロするかのように、主人公である17歳の女子高生の「すず」の、教室で窓の外を見て物思いにふける姿や、1人で川べりを歩く(そのそばをはしゃいでいる3人の女子高生が通り過ぎる)姿などのシーンも映し出されていく。独特の音楽も相まって、メインの映像は通常バージョンと同一でも、かなり印象が異なって見えるだろう。

窓の外を見て物思いにふける、17歳の女子高生の「すず」

 『竜とそばかすの姫』の公式サイトによると、すずは幼い頃に母を事故で亡くしており、父と二人暮らし。その死をきっかけにすずは歌うことができなくなっていたが、全世界で50億人以上が集うインターネット上の仮想世界に参加し、自身の分身を作り出すことで自然と歌うことができた。すずの歌は瞬く間に世界中の人気者になっていくが、やがて「竜」と呼ばれる謎の存在が現れる……というのがあらすじのようだ。

すずは「As(アズ)」と呼ばれる自分の分身で世界中で人気の歌姫となる

 映画本編は公開前のため未見だが、CM中に表示される「偶然じゃなかった――」「50億人がすれ違うこの世界で」というテロップから推察するに、『竜とそばかすの姫』がインターネット上(仮想世界)のつながりを、もっと言えばコミュニケーションや出会いを肯定する物語になっているのは確実だ。そのことを、「やさしさをがんばる」若手職員の姿と重ね合わせ、ひいては「人に一番やさしい生命保険会社」を目指す明治安田生命の理念とも一致させるCMのつくりは、とても理にかなっている。

全世界で50億人以上が集うインターネット上の仮想世界<U(ユー)>

その作家性で改めて認識できたこと

 細田守作品は監督自身の体験が色濃く反映されることが多く、特に『サマーウォーズ』以降は家族にまつわる事柄が取り込まれている。『おおかみこどもと雨と雪』では母親の偉大さ、『バケモノの子』では父親と息子、『未来のミライ』では自身の息子が生まれてきた妹への嫉妬心を知ったこと、といったように。

 その細田守監督が題材にした身近な体験は、実は普遍的に多くの人に共通することでもあるからこそ、共感を呼び、親身になって登場人物を応援できる。その体験にはさまざまな悩みがつきまとうが、「亜希のちかい」で提示されたような「やさしさをがんばる」ことができれば、より良い方向へと進めるのかもしれない。その希望へとつながる過程も細田守作品では共通していたのだと、このCMで再認識できたのだ。

 ここで改めて、本CMの主人公の亜希の言葉を振り返ってみよう。

人にやさしくって、 みんな簡単に口にする。 けど、簡単な事じゃない。

人を強く想う気持ちがないと、本当にやさしくはなれない。

(字幕:私は、どこまで強く想うことができるんだろう?)

考えるんだ。寄り添い続けるんだ。暮らしに。人生に。

それが、私の仕事だから。私は、私のやさしさを、がんばる。

 この「簡単ではないけれど、私はやさしさをがんばる」メッセージは、「現実で大切なものを失ったが、どこか別の場所(仮想世界)に居場所を見つける」という、やはり普遍的に多くの人に共通する事柄を描いたあらすじの『竜とそばかすの姫』でも、きっと描かれるものだろう。

鑑賞券が当たるキャンペーンが実施中

 『竜とそばかすの姫』の鑑賞券が2000組4000人に当たるキャンペーンが、特設サイトより応募できる。応募期間は6月11日(金)から6月30日(水)まで。いち早く『竜とそばかすの姫』を楽しんでほしい。

提供:明治安田生命保険相互会社
アイティメディア営業企画/制作:ねとらぼ編集部/掲載内容有効期限:2021年6月17日

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