顔を自由に変えられるようになったら? フェイスシールドが発達した未来描くSF漫画に考えさせられる(1/2 ページ)
アバターみたいに顔も着せ替え。
感染症対策用のフェイスシールドが、精細なディスプレイを備えたスマートデバイス「フェイスモニタ」に進化した未来、人間はTPOに合わせて顔を変えるようになった――。漫画家の窓口基(@MADOguchimoto)さんによるSF作品、「顔」が好評です。技術革新が社会を変える様に考えさせられる。
フェイスモニタは、感染対策用の密閉換気式フェイスガードや、両面透過モニタ、スマートグラスといった技術の進歩が重なって生まれたデバイス。表面に精細な顔や画像を立体的に表示しつつ、裏面では外の風景や各種情報が見られます。表に表示する“顔”は素顔の表情と連動するので、自然な感情表現も可能。
当初は主にARマニュアルやリアルタイム翻訳に用いられていましたが、「最高にうまくいったメイクの状態を保存し、いつでも読み出して再現できる」利便性の発見がきっかけで、爆発的に普及。誰もが着用するようになってからは、「常に自分の顔を使う必要もない」と皆が気付き、時と場合に合わせて“表の顔”を変えるようになりました。
例えば、通勤通学などむやみにプライバシーをさらしたくない場では、無個性なアバター。友人との外出では仲間内で通じるキャラクターのアイコン。部活では自信満々、就活時は清潔感、謝罪するときはいかにも申し訳なさそうにと、人々は表情をその場に求められる「正解の顔」に変えていきます。
これは現代のわれわれだって程度の差こそあれ、機械がなくとも素で行っているしぐさではありますが、フェイスモニタはそんな苦労を無用のものとしました。この「素顔を変えなくともよい自由」を示すかのように、漫画の語り手は「私の顔はようやく私のものになったのだ」と話を締めくくるのでした。
漫画は「コロナ禍が長引いたら本当にこうなりそうだとか考えてしまった」「アプリで盛りまくる現代もだいたいこうなりつつある」「美容にもう疲れたからこうなってほしい」「たまに見えるレアな素顔にときめく、平安貴族みたいな未来」など、さまざまな反応を呼びました。作者はこうした短編SF漫画をTwitterで多数公開。短編集『みらいみらいあるところに』として、Kindleでも配信しています。
作品提供:窓口基(@MADOguchimoto)さん
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