仏で動物愛護に関する法案が可決、ペット店での犬猫販売・水族館のイルカ飼育が禁止に 動物愛護団体と水族館の反応を取材(2/3 ページ)
動物愛護に関する法案が可決されました。
仏動物愛護団体「動物の飼育や狩猟、動物実験、闘牛が含まれないのは非常に残念」
食用のために飼育・殺処分される動物のために活動する動物愛護団体「L214」にも取材したところ、広報のバーバラ・ボイヤーは「この法律の良いところはペットだけではなく野生動物にも配慮しているところ。毛皮を目的としたミンクの飼育や繁殖がやっと禁止されたところも良い」と評価する一方で、「動物の飼育や狩猟、動物実験、闘牛が含まれていないことはとても残念だ」とコメント。
IFOPの世論調査で国民の89%が狭いスペースでの動物飼育の禁止に賛成しているにもかかわらず、L214が最も問題視する、外へ出られない環境での集約的な畜産で動物たちが屠殺(とさつ)されることなどが議論から外されていることも評価できないとしました。
その上で、法案を提出したロイック・ドンブルヴァル議員らの働きかけに反して「政府と多数派の議員が動物のために行動していると言いながら、最も多くの動物に関わる主要なテーマを無視している」と主張。国会議員のあいだでテーマの取捨選択が行われたと推察しており、2022年の大統領選に向けてさらに現実的で野心的な施策が必要としています。
同団体は「人間と動物が平和に共存することは可能だが、それには現在の関係を変えて非暴力的でお互いに利益を得られるWin-Winの関係を築く必要がある」と回答。動物を尊重する好例として農場や食肉処理場から逃げ出した動物の保護シェルターなどを挙げ、「動物たちは自由になり、世話をされ、人間は大人も子どもも動物たちを観察し、その行動から学び、交流できるべきだ」と同団体が目指すビジョンの1つを提示しました。
今回の法律が動物への残虐な行為を防止する抑制力として期待できることは明白ですが、その一方で「規制の対象分野に利権による偏りがあるのでは」との疑念もあがっています。仏内ではさまざまな立場から、同法案のさらなる改善を求める声が寄せられています。
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