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「夢を壊すための裁判ではなく、守るための裁判」「今でもディズニーを愛している」 東京ディズニーランド出演者訴訟、判決受け原告が会見(2/3 ページ)

「安全配慮義務違反」と「パワーハラスメント」を訴えた裁判、争点は――。

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緊張の判決、まさかの「判決が聞こえず勝ったか負けたかわからない」

 50人以上の傍聴人が詰めかけ、傍聴は抽選となるなど高い注目度がうかがえた今回の判決。傍聴券を手に入れた人々を取材したところ、「判決は一瞬だった」「裁判長の声が小さくて何も聞こえなかった」「3年8カ月かかった裁判の判決だと意気込んでいたが、裁判長が入ってきたと思ったらすぐ出て行ってしまった。何も聞こえず勝ったか負けたかわからない」などの意見が続々。同裁判を支援してきた、「なのはなユニオン」の関係者らも首をかしげるなど現場が混乱しました。


千葉地裁

 その後、関係者同士で情報を共有し合い、原告勝訴であることが分かると、裁判所のロビーでは小さく拍手が起きたり、涙を流す関係者の姿が見られました。

 特に原告のBさんは「法廷で私の主張が認められたんだとわかったけれども、全身の力が抜けてしまって何も考えられない」と体を震わせ、支援者らが「よかったね」「よく頑張った」とねぎらいの言葉をかけていました。

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 弁護団が判決文を受け取った後、場所を移して行われた記者会見でBさんは「おかしいことはおかしいと声をあげました。それが認められてうれしい気持ちになりました」とコメント。

 今回提訴したパワハラはあくまでも一部であるとしたうえで、「もっとひどい内容もたくさんありましたが、子どものころからずっと憧れていたものをかなえることができて、続けるためには我慢するしかありませんでした」と心境を吐露し、今回の裁判は「仕事を続けるための裁判だと思っています」と力強く話しました。


会見に集まった報道陣に感謝を述べるBさんとなのはなユニオン鴨桃代委員長

 また裁判の中でオリエンタルランド社が「(Bさんが)うつ病なのに笑顔で写真に写っていた。(オリエンタルランド社関連の施設で)外食できている」などの主張を繰り返したことについても言及。

 「私はうつ病を発症してからも1日も休まずに出勤してきました。同じ病気を抱えるゲストの方から『つらいけれども頑張ってディズニーランドに来てよかった。ありがとう』と何度も笑顔で声をかけられ、うつ病でも笑うことができるし、外出できるとゲストが教えてくれました」と話し、「ディズニーには、うつ病の人は来てはいけないというような会社の主張にすごく悲しみを覚えます。“夢と魔法の王国”を掲げている場所が、憧れの場所をそんな風に言ってほしくなかったです」と話しました。

 さらにオリエンタルランド社側が証人尋問で「Bさんが仕事中に過呼吸を発症していると主張するのに、実際は倒れていないじゃないか」と発言したことに対しては、「キャラクター出演者の労働環境は本当に過酷です。熱中症などになって倒れそうになっても、『ゲストの夢を壊したくない』と必死で我慢をしながら出演しています。そんな気持ちも踏みにじられたと感じました。出演者がどんな気持ちでみんなにエンターテインメントを提供しているか、会社に一番わかってほしかったです」と涙ながらに語りました。

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 また、上司が裁判官に対して「長年にわたり守ってきた夢をBさんが壊したのが悲しい」と証言したことについては、「この裁判は、夢を壊すための裁判ではなく、夢を守るための裁判です」としたうえで、「なぜ裁判を起こさなければなければならなかったのか、会社にも今一度考えなおしてほしいです。この仕事を続けたいのに続けられないのではなくて、続けたい人が仕事をし続けられるような環境になってほしいと願っています」とコメント。

 判決を受けてオリエンタルランド社から「今回の判決において、当社の主張が一部認められなかったことは誠に遺憾であり、判決内容を精査した上で今後の対応を検討して参ります。なお、原告が主張するパワーハラスメントに該当する発言は認められませんでした。ゲストの皆様をはじめとする日頃より当社を支えてくださる全ての皆様に対しご心配おかけしておりますことをお詫び申し上げます」との声明が出されたことについてBさんは、「“当社の主張”が何に対して何を主張をしていたのかを知りたいです。(裁判でのオリエンタルランド社の主張が)どうしても受け入れられない内容ばかりだったので……」と率直な心境を明かしました。

 最後にBさんは「ディズニーが悪いわけではないし、ディズニーというもののイメージが壊れることがとても悲しいです。繰り返しますがディズニーが悪いわけではないんです。悪いのは労働環境を是正してこなかったオリエンタルランドという会社です。裁判を始める前も終わった今もディズニーというコンテンツを愛しています。今後私と同じように憧れて入社してくる方々が自分と同じ目に合わず安心して働ける、本当に従業員にとっても夢と魔法の王国と胸を張って言える環境にしていってほしいです」と締めくくりました。

 Aさんは訴訟中に退職。Bさんは現在本件訴訟とは無関係のパレード中のアクシデントで首を負傷で休職中。なのはなユニオンの関係者からは、職場環境を浄化するための訴訟なので、Bさんの傷病の状態が看過した後には、オリエンタルランド側にBさんの気持ちに寄り添った対応を期待したいとの声が上がっていました。

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