「女性は優しい」思い込みは4歳ごろから、京大准教授「ステレオタイプは幼児期や児童期にルーツか」(1/2 ページ)
「男性=賢い」というステレオタイプで女性が数学や科学を敬遠する、という可能性。
京都大学や大阪大学らの共同研究グループは、「女性=優しい」「男性=賢い」というジェンダーステレオタイプが、幼少期や児童期からみられることを研究で明らかにしました。
京大の森口佑介 文学研究科准教授らは、日本の4歳から7歳の子どもを対象に、「賢い人」の話や「優しい人」の話を子どもに聞かせて、その人物が女性と思うか男性と思うかを聞きました。
その結果、「女性=優しい」というステレオタイプは4歳ごろから一貫して見られることが分かりました。また、「男性=賢い」というステレオタイプは、「女性=優しい」というステレオタイプよりは明確ではないものの、7歳ごろからみられる可能性が示されました。
また、このようなジェンダーステレオタイプに、親が持つジェンダーに対する思い込みが影響するかも検証したところ、親の思い込みは子どものジェンダーステレオタイプとは関係しないことが明らかになりました。
京大によると、「女性は優しい、男性は賢い」などのジェンダーステレオタイプを持つ子どもは、それらのイメージに沿うように普段の振る舞いや進路・職業を選択し、その結果としてジェンダーギャップが維持・拡大されていることが多くの研究で指摘されているとのこと。例えば、「男性=賢い」のようなステレオタイプを持つことで、女性が数学や科学を敬遠し、科学者などの職業を選択しなくなる可能性がある、と指摘しています。
森口准教授は今回の研究について、「ジェンダーステレオタイプのルーツは幼児期や児童期にある可能性が示されました」と総括。このようなジェンダーステレオタイプが生まれる背景については、「今回の研究では、親のジェンダーに関する意識との関連は示されませんでしたが、親や教育者が何気なく発するジェンダーに関わる言葉や子ども同士のやりとりなど、様々な要因が考えられます」として、今後はこれらの要因を実証的に明らかにしていきたいと述べています。
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