伝説的ラッパーの指輪、ヒップホップ史上最高額の約1億4300万円で落札 射殺前最後のMTVで着用(1/2 ページ)
今でも強い存在感の2パック。
国際競売会社のサザビーズは現地時間の7月24日、1996年に25歳の若さで亡くなった米ラッパーで俳優の2Pac(2パック)が最後に公の場に姿を現したときに身につけていた指輪が101万6000ドル(約1億4300万円)で落札されたと発表しました。予想落札価格の20万から30万ドル(約2800万円から約4200万円)の3倍以上の値が付いたこの指輪は、ヒップホップ関連の品としては史上最高価格での落札となりました。
1996年に2パック自身がデザインしたこの指輪は、彼が同年に出演したMTVビデオ・ミュージック・アワードで着用しており、これが公共の場で目撃された最後の姿となりました。ダイヤモンドとルビーがはめ込まれた王冠型の指輪には、「Pac&Dada, 1996」の刻印が。「Dada」はそのころ2パックの恋人であった、クインシー・ジョーンズの娘キダダ・ジョーンズのことで、2パックと彼女の関係にちなんだ品となっています。
また、2パックは1995年の服役中に読んだイタリアの思想家ニッコロ・マキャベリの書籍に強く影響を受けたことで知られています。サザビーズは2パックがマキャベリの「君主論」からインスピレーションを得て、中世ヨーロッパの王冠をイメージしながら指輪をデザインしたと説明しました。
指輪を出品したのは2パックの名付け親で資産を管理している“おばさん”ヤスミン・フラ。1995年に2パックが服役を終え結成したヒップホップ・グループ、アウトロウズのメンバーだったヤキ・カダフィの母親でもあります。彼女は2パックの育った環境について「彼はずっと、詩であれ、芸術であれ、論評であれ、何を伝えるにしても、他の人々を高揚させ、刺激するようなメッセージを持たなければならないと教えられてきました。彼は通常のルールや規則に縛られず、自身の持っている権利という観点からものを学んだんです」とコメント。
そして「もし世の中をよりよくしたいと思っているなら、あの指輪は強力なシンボルです。あの指輪をはめるのであれば、その人は世界にインパクトを与える責任というものを受け入れなければなりません。指輪は、彼が計画を備えた王子であることを認識する方法だったと思います」と指輪がどのような意味を持つものか説明しました。さらに指輪が完成したときについて、「彼はルビーを、ダイヤモンドを、何か精巧なものを欲しがりました。忘れもしません。ついに出来上がったとき、私は指輪を持って歩み寄って、彼がそれを見たんです。彼はただ感動していたと思います」と当時を思い返しています。
絶大な人気を博し、その音楽が世界に影響を与えただけではなく、見た目や身に着けるもの全てが多くの人を引きつけた2パック。1996年9月13日に米ロサンゼルスのギャング/ギャングスタラップの東西抗争の末銃撃され、25歳という若さでこの世を去りました。彼が亡くなったあとも未発表音源がリリースされたりホログラムとなって生前親交のあったドクター・ドレー、スヌープ・ドッグと共演するなど、人気は衰え知らず。今回の落札価格からもいまだにヒップホップ界において強い影響力があることがうかがえます。
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