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“世界一過酷な鉄道”モーリタニア鉄道に乗った日本人の体験談が壮絶 貨車の上で15時間揺られサハラ砂漠を横断(1/3 ページ)

鉄鉱石の上で黒い粉や砂ぼこりにまみれながら、広大な砂漠を渡った旅人に話を聞きました。

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 貨物の鉄鉱石と乗客を一緒に運ぶ、「モーリタニア鉄道」の体験談が、X(Twitter)で注目を集めています。パンパンの貨車の上に乗ってサハラを渡る、スリリングな旅をやりきったみつき(@mitsuki_tabi)さんに詳細を聞きました。

鉄鉱石と一緒に運ばれるみつきさん。景色は壮大だけど、うっかり落ちたらと思うと……
見渡す限り砂ばかり。大荷物で移動する現地の人の姿も見られる

 モーリタニア鉄道は、アフリカ北西部のモーリタニア・イスラーム共和国で、鉄鉱石を鉱山から沿岸部へ運搬するために建設された鉄道。広大なサハラを渡る路線は、全長717キロにもおよびます。

 最大230両編成・全長2キロ以上の列車は世界最長とされていますが、「世界一過酷な鉄道」とも呼ばれています。貨車に乗った利用者は、鉄鉱石の上で砂ぼこりや粉にまみれながら、10時間以上揺られることになるのです。

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 旅人のみつきさんは、6月にカンボジアへ渡り、7月からタイを経てアフリカへ。セネガルからモーリタニアを目指す過程で、モーリタニア鉄道を利用しました。便は1日1回のみ。出発時刻が不明だったため、みつきさんは13時から22時前まで、ひたすら屋外で待ったといいます。

 ハシゴで貨車へ上がると、そこはもうゴツゴツした鉄鉱石の上。みつきさんは日差しや砂ぼこりなどのもろもろから身を守るため、布で頭全体を覆ってサングラスをかけて臨みますが、その防備も気休め程度にしかならなかったそうです。

 激しい揺れに振り落とされそうになりながら、15時間ほどかけて砂漠を渡った道中の様子は、「すごい経験」「世界は広い」「ある意味、最高のぜいたく」と話題に。「楽しかったけどもう一生乗りたくない」と振り返るみつきさんに、詳細を聞きました。

―― あらためて乗ってみての感想をお聞かせください

みつき もちろん過酷なのは乗る前から分かってはいましたが、案の定過酷でした。列車に乗ったのは21時45分。ネットもないですし、砂ぼこりで壊れるので長い時間携帯電話を出すわけにもいかず、星空を見るしかありませんでした。まわりに光がないので星がよく見えます。

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 真っ黒になりながら素手で鉄鉱石を掘ってならして、硬いゴツゴツの上で寝転がって星空を見ながら「あ~、俺何してんだろう……」と、乗りたかったはずなのに謎の虚無状態に陥りました(笑)。

 朝になって起き上がると建物なんて1つもなく、360度全方位に砂漠が広がっていて、そこを全長2キロ以上の、世界最長の列車が駆け抜けている――。なんかよく分からないんですが「うおお、生きてる!! 人生楽しい!! 良い人生だ!!」と急にハイになりました。

 世界一過酷な鉄道とも言われますが、音やあり得ないほどの揺れ、砂ぼこりや鉄鉱石の粉、砂嵐を考えるとそう言っていいと思います。「もう一生乗りたくない」は普段利用している現地の人に失礼かもしれませんが、純粋にそう思います。もしも落ちてしまったら砂漠に取り残されますし……。無事到着したあとも、水回りがチョロチョロの冷水シャワーくらいで、洗濯や耳や鼻の中の掃除も大変でした。一生に1回乗れたら十分、というか一生に1回でも多すぎるくらいです。

 「楽しかったけど」とツイートしましたが、本当に楽しかったのかよく分かりません。無意識に脳内で補正をかけているだけかもしれませんね。でも、人生でトップクラスの良い思い出になったことは間違いありません。やはり楽しかったです。

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