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大阪府の「高齢者向け生成会話AI」が物議 「情報が不正確」「カジノ建設不安視」指摘も…… 府の見解は(1/2 ページ)

編集部でも試してみました。

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 大阪府が9月7日から導入した高齢者向け生成AI会話サービス「大ちゃん」がSNS上で物議をかもしています。情報が正確ではないという指摘や、質問の仕方によっては夢洲(ゆめしま)へのカジノ開設を不安視した回答をされるなどの報告が聞かれています。ねとらぼ編集部は、府に見解を聞きました。

大阪府のAI会話サービス「大ちゃん」が物議(画像は実際の画面から)

 大ちゃんは府のシニア向けLINE公式アカウント「おおさか楽なび」で提供される会話サービス。関西弁をしゃべる柴犬「大ちゃん」との何気ない会話を楽しめることが特徴です。IT大手・日本マイクロソフトなどと共同で開発し、府は「生成AIを活用したシニア向けコミュニケーションサービスとして地方公共団体では全国初の取組み」だとしています。

 吉村洋文大阪府知事は9月7日、X(Twitter)で「『大ちゃん』との会話を通じて、高齢者の孤独や孤立化の緩和、外出機会の創出、健康増進に繋がればと思います」と、その役割に期待を示していました。

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 しかしX上では、大ちゃんが話す内容が不正確であるという指摘が相次いでいます。具体的には「府庁にある食堂の営業時間が間違っていた」「2021年を“今年”として認識していた」などの報告例が聞かれています。

 大ちゃんの言うことは本当に不正確なのでしょうか。ねとらぼ編集部は実際に、大ちゃんと会話をしてみました。大阪万博が行われる「夢洲」について「夢洲は何があるの?」と聞いてみると、大ちゃんは「夢洲には大きな公園や野球場、イベント会場があるんや。遊んだりイベントに行ったりするのにぴったりやで!」と返してきました。

ねとらぼ編集部が「夢洲」について聞いた結果(画像は実際の画面から)

 しかし、万博開催前の現在の夢洲にはコンビニや物流センターなどはあるものの、目立った集客施設が存在していません。なお、夢洲の隣にある埋め立て地「舞洲」(まいしま)には、プロ野球オリックス・バファローズの2軍球場や、音楽イベント「サマーソニック」の開催地となる大型公園「舞洲スポーツアイランド」があります。

 また前大阪市長の松井一郎氏について「松井一郎について教えてください」と聞くと「松井一郎さんは、大阪市の市長さんやで。大阪のまちを元気にするために、いろんなことに取り組んでるねん」と、松井氏が未だに現職であるかのような回答が返ってきました。

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ねとらぼ編集部が「松井一郎」について聞いた結果(画像は実際の画面から)

府「自動生成のため恣意性が入ることはない」

 「大阪楽なび」の開始画面では「内容の正確性及び最新性等を保証するものではありません」と、大ちゃんが話す内容が正確ではない可能性について触れられています。

開始画面の注意書きには「正確性及び最新性等を保証するものではない」との記述が(画像は実際の画面から)

 他にもX上では、質問の仕方によっては、大ちゃんが埋め立て地である夢洲の地盤への懸念からカジノ建設を不安視したり、特定の政党に関する情報だけ詳細な回答を示したという報告例も聞かれています。

 ねとらぼ編集部がサービスを展開する大阪府スマートシティ戦略部戦略推進室地域戦略推進課に、SNSで「回答内容が不正確」「特定の政党に好意的では」との指摘が上がっていることについて「指摘をどう受け止めているか」「修正・調整の予定はあるか」と取材したところ、12日、担当者は以下のように回答しました。

「『大ちゃんと話す』は、高齢者の会話機会、外出機会を創出するためのコンテンツとして提供しています。このコンテンツのキャラクター『大ちゃん』は、人間年齢で10歳の柴犬という設定で、高齢者の問いかけに対し自動生成で会話・雑談を行う機能を備えており、自動生成のため、恣意性が入ることはありません」

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