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“ハリウッドの王子様”、イスラエルとハマスの紛争を“コント”化して大炎上 「面白いと思った?」「ウクライナとの違いに驚き」(1/2 ページ)

自殺を冗談にしているとの批判も。

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 米仏の俳優ティモシー・シャラメが米バラエティー番組「サタデー・ナイト・ライブ(SNL)」で演じたコントが11月12日にオンラインでシェアされ、ネット上で批判が集中。ティモシーらはコント中、10月7日から衝突が続きいまだ痛ましい状況が続いているイスラエルとハマスの紛争を“ジョーク”のように扱ったとして人々の激しい怒りを買っています。


ティモシー・シャラメとプリーズ・ドント・デストロイによるコントが大炎上(画像はYouTubeから)

 SNLで公開されたコントは、コメディートリオ「プリーズ・ドント・デストロイ」が演じたもので、ティモシーはビルの上階から今にも飛び降りようとしている青年の役でした。自殺を思いとどめさせようと通りかかった3人が「何か大切にしているものは?」と聞くと、ティモシーは「音楽だ」と回答。そこで勇気がなく人に聞かせたことがないというティモシー作の音楽を3人が聞いてみると、それはもう無理やり褒めるしかないような陳腐な代物でした。

 音楽を褒められたことで少し気をよくしたティモシーが「Instagramでシェアしてくれる?」と聞くと、「自殺をやめてくれるなら」と答える3人。しかしバンド名を尋ねると、ティモシーは「H・A・M・A・S」とハマスと全く同じつづりのバンド名を明かしました。驚いた3人は「ハマスの曲をInstagramでシェアしたりしないよ!」と叫び、笑いが起きます。そしてまた落ち込むティモシー、という筋書きでコントは続いていきました。

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 このコントが公開されると、X(Twitter)や同番組の投稿へのコメント欄は大炎上。「いつから大量虐殺や自殺をジョークにすることがクールになったわけ?」「つまり死んでいく人たちをジョークにしてるってこと?」「大量虐殺が単なる笑い話にすぎず、現実のニュースといえば、税金で殺される現実の人々、そんな特権階級の小さなあぶくの中で生きている人々を想像してみて」「大量虐殺は冗談ではない。吐きそうだ。関係者全員恥じるべき」と今まさに起こっている悲劇的な現実を冗談にできることが信じられないと言う声が相次ぎました。

2022年2月26日の放送ではウクライナ国立アカデミー合唱団「ドゥムカ」の合唱で番組がスタート

 また、ウクライナでの戦争をジョークにしたものは見たことがないと指摘し「大量虐殺はまさに起こっているんだよ! 人々が飢えと渇きで死んでいるのに、彼らはそれをジョークにしているなんて! ウクライナでも同じことが起こっているのにこんなコントは見かけない。脚本家たちはどこで線引きしているんだろう」「ウクライナとの違い……驚きだよ」と違和感を示す声も。SNLは2022年2月24日にロシアによるウクライナ侵攻開始から2日後の放送では、番組のオープニングでコントに代わりウクライナ国立アカデミー合唱団「ドゥムカ」による歌唱を放送し敬意を示していたこともあって、比較する投稿が見られました。


番組出演後の自撮り写真をシェアするティモシー(画像はティモシー・シャラメのInstagramから)

 さらに、ティモシーは自身のInstagramで同番組出演後の自撮り写真を投稿。至って変わったところのない、シンプルなこの自撮り写真からは、コントが大炎上するとは想像してもいないといった様子が見て取れます。

 しかし現実、この投稿へは批判コメントが相次いでおり「面白いと思ったの? 大量虐殺が行われてる国の話が面白いって? 胸糞悪い」「大量虐殺を応援してるわけ?」「フォロー外した」「SNLのコントには失望した。もう『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』も、『DUNE/デューン 砂の惑星』も見ない」など、出演を断らなかったこと、内容に疑問を感じなかったことへの批判や、ファンをやめたという怒りが多数書き込まれています。

 加えて、「大量虐殺については沈黙してるくせに、ジョークにするのはためらわないんだね」など、多くのハリウッドセレブと同じようにイスラエルとハマスの紛争に関しては沈黙を守り、政治的なコメントをしていないティモシーが、コントに出演し冗談として言及することは了承したとを批判する声も。今回の紛争に関しては、普段は社会的・政治的問題に声をあげるセレブもノーコメントを貫くケースが多く、米国政府と動揺に主張をする場合はほとんどがイスラエル側に立つものが目立っています。

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 そんな中、父親がパレスチナ出身の人気モデル、ジジ・ハディッドは10月10日、暴力には絶対的に反対の立場を明確にしつつパレスチナ人の立場や気持ちにも寄り添うコメントを発表。そののち妹のベラは家族全員がおびただしい数の脅迫状を受け取っていることを明かしました。また、Instagramで4億3000万人のフォロワーを持つセレーナ・ゴメスは、紛争へ言及しないことに「投稿では何も変えられない」と発言し「中立になって大量虐殺を支持?」などと強く非難されていました(関連記事)。

 なお、12月8日公開予定の映画「ウォンカとチョコレート工場のはじまり」で若き日のウィリー・ウォンカを演じているティモシーは、同作のプロモーションで初来日することが発表されたばかり。約6年ぶりの来日となるウンパルンパ役の英俳優ヒュー・グラントらとともにイベントに登壇予定です。

初来日予定のティモシー
公開されたSNLのコント
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