「愛は勝つ」だけじゃない! KANの名曲8選 切ない曲、笑える曲……25年来のファンが厳選紹介(2/3 ページ)
「『愛は勝つ』の一発屋でしょ?」――KANファンの多くは、こんな言葉に傷ついた経験があるかもしれません。1987年のデビューから26年。発表した楽曲は150以上。彼が遺した名曲が、「愛は勝つ」だけのはずがないのに。
5.「カサナルキセキ」 別々の2曲を1つに「合体」 秦基博との共作
ここからは、J-POPアーティストとのコラボを2曲紹介します。まず、KANさんが2020年に発表した「キセキ」と、秦基博さんが21年に発表した「カサナル」という別々の曲を1つに重ねた驚きの名曲「カサナルキセキ」。2人で協力して作ったのですが、最初はシレっと別の曲として発表され、その後の「謝罪会見」で、2曲合わせて1曲だったと明かされました。
2曲とも、遠くて近い2人のラブソングでありながら、2つで1つであることをほのめかす歌詞、同じフレーズの入り方が秀逸。単曲ですばらしく、重ねるともっとすばらしいという奇跡のコラボです。
楽曲も最高ですが、「謝罪会見」も無駄に作り込まれていて爆笑なので、よろしければ、是非。
6.「回奏パズル」 スキマスイッチの20曲以上を分解・再構成して1曲に
こちらはKAN作詞作曲ではなく「編曲・再構成」の変わり種。音楽ユニット・スキマスイッチのアルバムにKANさんが提供した「回奏パズル」は、「藍」「奏」「ボクノート」など、スキマスイッチの20以上の曲のフレーズを組み合わせて1曲にまとめ上げています。
いわゆる「メドレー」的な構成ではなく、1フレーズごとに違う曲が現れる。にも関わらず、メロディも歌詞もすべてつながっていて、1曲としての完成度が非常に高い。最初に聞いた時は「なんだこれ!」とびっくりしました。歌いこなす大橋卓弥さんもすごいです。
7.「よければ一緒に」 君を誘う優しいポップス
KANさん作詞作曲のオリジナル曲に戻ります。こちらは「よければ一緒に」と優く誘う、大人の王道ポップス。「一緒にやろう!」と強く誘わず、「僕1人でもできるけれど、よければ一緒に、そのほうが楽しい」と、相手を尊重するKANさんの優しさが染みます。
同じメロディを何度も繰り返すため覚えやすく、ライブでも観客と一緒に歌うのが定番。でも実は、全フレーズでコード進行が微妙に変わっていくという技巧が尽くされていて、演奏はとっても難しいそう。演出家の三谷幸喜さんが、「愛は勝つ」と並んで好きな曲に挙げていました。
8.「エキストラ」 “KAN最後のラブソング”は、途方に暮れるような片思い
KANさん最後のラブソング。粉雪のように静かなピアノの音。あなたは主役で、私はただのエキストラ。ふりむいてほしいとか、気づいてほしいなんて望まない、ただ見届けるだけの切ない恋。
「叶わぬ恋なんて 言うに及ばぬ 途方に暮れるような片思い」。地下鉄の駅で、レストランのシーンで……たった5分の曲なのに、白黒映画を1本まるごと見たような光景が心に広がります。
発表は56歳。晩年のライブでは締めに歌われることが多く、私が最後に聴いたKANさんの生演奏は、この曲でした。KANさんにとって私はエキストラだったけれど、KANさんもまた、誰かのエキストラだったのかもしれません。
まだまだまだまだあります! ダイジェスト動画も是非
以上、大好きな8曲を紹介しましたが、それでも全作品の5%ほど。加えて「雨にキッスの花束を」(歌:今井美樹/作曲:KAN、作詞:岩里祐穂)をはじめとした提供作品にも名曲がたくさん!
いろんな曲を少しずつ聴くなら、ライブのダイジェスト映像が便利かもしれません。YouTubeで見られるライブ映像は弾き語りが中心ですが、バンドライブも少しあります。バンドライブも生演奏のみ、同期(録音素材)なしで仕上げるというこだわりっぷり。演奏のレベルも非常に高いことが感じていただけるかなと思います。
気になる曲があれば、サブスクで聴いてみてください
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