「日本のマンガには世界戦略などまったくない」――文化庁委託のマンガ流通調査の報告書が言い切っている
けっこう辛口。マンガの神様・手塚治虫さんの作品の海外出版事情が分かります。
日本のマンガが世界に広がっている、国をあげて海外へ売り込まれている──テレビや新聞などの報道から、こんな印象を受けることもある昨今ですが、実際のところはどうなのでしょう? 文化庁の委託事業である「海外における日本マンガの出版状況の調査」の報告書から、その一端を知ることができます。
調査の初年度の成果としてまとめられたのは、マンガの神様とも言われる手塚治虫の海外出版状況。2013年末時点で流通している作品(手塚プロダクションが正式に許諾している作品)を調べたところ、許諾国は18カ国、言語数で17言語ということが分かりました。このうち14カ国については、報告書内で出版物をすべてリスト化。これらの国では合計で227タイトル、1225冊の手塚治虫作品が販売されています。
調査結果を見ると、18カ国中12カ国で販売されている「鉄腕アトム」を頂点に、11カ国で販売される「ジャングル大帝」、10カ国で販売される「ブッダ」「アドルフに告ぐ」などが世界的にポピュラーな手塚作品といえそうです。
国別に見ると、153タイトル・586冊を出版する台湾が、最も手塚作品を多く扱っている国となりました。また、バンドデシネの国・フランスでは52タイトル225冊の出版が確認され、絶筆となった「グリンゴ」「ルードウィヒ・B」といった作品から絵物語「ハトよ天まで」まで、幅広い作品がラインアップされています。さらに、韓国、スペイン、イタリア、アメリカといった国でも、手塚作品が多く出版されているようです。
一見「世界的」にも思えるが……
報告書にはこうしたリストに加え、調査のディレクターを務めた幸森軍也さん(ダイナミックプロダクション所属 専修大学非常勤講師)が、喧(けん)伝される“世界で人気の日本マンガ”について、印象が一人歩きしている懸念を語っています。
「出版月報」2012年8月号に掲載された特集「ライツビジネスのいま 出版コンテンツの海外展開」によると、日本マンガの書籍・雑誌を含めた海外市場は1380億円で、日本に入る収入は110億円程度。しかも、2008年をピークに市場規模は減少傾向にあるといいます。
日本国内のマンガやマンガ雑誌の総売上高は約4800億円であり、「全世界を対象としたとき海外の売上が日本国内の数倍であっても不思議はないのに、実際には3割にも達していない」と幸森さんは指摘。「ハリー・ポッター」が世界67言語で販売されていること、ディズニーが常時80カ国に作品をライセンスしていることなども挙げつつ、日本を代表する作品すら20数カ国での出版にとどまっている現状を、「日本のマンガには世界戦略などまったくなく、日本の人々が思うほど売れていない」と語っています。
アニメの広がりにより作品が世界で認知されるというケースも多そうですが、もし原作であるマンガ自体があまり読まれていないのだとしたら、ちょっと寂しいですね。出版不況とともにマンガの売上減少も叫ばれる昨今、海外市場の開拓も日本のマンガ文化を発展させるために必要かもしれません。手塚作品の出版状況を「十分」と思うか「もっと読まれるべき」と思うか──あなたはどっち?
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