ガチ勢のみんな集まれ〜! 2015年〜現在までを振り返る「今年の新語」の傾向と対策(2/2 ページ)

» 2019年12月31日 15時00分 公開
[ながさわねとらぼ]
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「今年の新語2020」に向けた対策

 「今年の新語2019」の傾向を分析したところで、来年末に開催されるであろう「今年の新語2020」にどんな語を投稿すべきか、対策を講じたいと思います。

対策1:「今年らしさ」の重視を

 近年の傾向から、選考で「今年らしさ」が重視されるようになってきているのは間違いないと思われます。投稿でも、なぜ今年なのかという理由づけを意識する必要があるでしょう。

 すると、おのずと「百科語寄り」の語に比重がかかることになりそうですが、一方で選評では「その年、特に広まったと感じられる一般語は、絶対に取り逃すまいという気持ち」があることも明言されています。

 先に述べた通り、一般語は何か特定のきっかけで広まるということは多くありません。しかし、近年の受賞語では「インスタ映え」の流行に伴って定着した「ばえる」(2018年大賞)や、森友問題で注目された「忖度」(2017年大賞)、ラグビーワールドカップで広まった「にわか」(2019年第2位)など、時事的な出来事との結び付きが強い一般語が上位に選ばれる傾向が見て取れます。翌年も、このような語が上位に入選する可能性は高いと思われ、一般語を軽んじることはできません。

対策2:もう載っている語でも躊躇(ちゅうちょ)しない

 「今年の新語」には、選考に関わる『新明解国語辞典』『三省堂国語辞典』『三省堂現代新国語辞典』『大辞林』にすでに立項されている語は入選しないものと思われていました。入選するとしても「忖度」「草」「刺さる」のように、意味が従来と変わっていると認められるものに限られています。

 実際に、昨年「選外」となった「半端ないって」について、選評で「『半端ない』は、ワールドカップロシア大会での大迫勇也選手の活躍をたたえたことばですが、すでに三省堂の複数の国語辞典に載っています」と、入選に至らなかった理由が説明されています。

 ところが今年は、すでに『大辞林』が立項していた「あおり運転」(第3版から)と「電凸」(スーパー大辞林3.0、大辞林4.0〈デジタル版〉)が入選しています。意味が大きく変わっているわけでもなく、私などは、当然入選はならないだろうと予想していました。

 「あおり運転」については、入選の理由として選評で「『大辞林』は早く2006年の第3版で「あおり運転」を収録していますが、単に複合語としてのシンプルな書き方で、悪質性についての言及はありませんでした」「今や社会問題化し、今回の投稿数でも4位(58通)になりました」「今後の辞書作りでは考慮する必要がある」と説明しています。

 「今後の辞書作りでは考慮する必要がある」というのが重要な観点で、「意味が変わっている語でなくても、既存の辞書に不足があった」と選考委員が認めた場合にも入選があり得るという方針が確認されました。

 「電凸」については、選評で『大辞林』に立項されていることについての言及はありませんでした。デジタル版にしかないことが理由の1つかもしれませんが、よく分かりません。いずれにせよ、すでに載っている語だからといって、無視はできないということです。


 あれこれ分析してまいりましたが、最後にもう1つ忘れてはならないことが。「今年の新語」というのはつまるところ「その年に『よく見た』『よく聞いた』ことば」を募る企画であるということです。

 あまり深く考えず「最近よく聞くようになったな」という語を投稿すればいいだけで、私を含むガチ勢は勝手にこのイベントを「ランキングに入る語を確実におさえる競技」だと勘違いしているのです。

 ガチ勢でない皆さんはこんな記事は無視して、素直に「今年の新語だな〜」と思う語を投稿するといいでしょう。

ながさわ

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