ITmedia ガジェット 過去記事一覧
検索
ニュース

「会場全体が絶叫」 熱く燃えた初音ミク米国コンサート

イントロが流れた瞬間に会場全体が絶叫し、日本語で歌う――日本で生まれた「仮想歌姫」が、ロサンゼルスを熱狂させた。

PC用表示 関連情報
advertisement

初音ミクの米国初ライブから一夜。興奮の第1報に続き、Anime Expoの様子も交えた興奮冷めやらぬ第2報をお届けする。


 初音ミクのライブが行われた北米最大級のアニメイベント「Anime Expo」(AX)は今回で20回目。アメリカではかなり知名度があるらしく、国内外から、あらゆる国籍と年齢の参加者が多数押し寄せていた。特筆すべきは、ほぼ全員が4 Days Passを持っていたこと。開催期間全てを、思い切り楽しんでいるようだった。

 会場のコンベンションセンターはロサンゼルスのダウンタウンにあり、東京で例えると、東京駅〜有楽町間みたいなもの。そこに東京国際フォーラム3つ分くらいのイベントホールがあり、コミケとワンフェスとゲームショウを合わせたようなイベントをやっている感じ。企業の出店こそ少なかったが、会場内の熱気はすごいものがあった。AXがホテルと会場を結ぶシャトルバスを用意していたのだが、ホテルからコスプレのまま出てきてバスに乗り込む人々の姿が実にシュールだった。丸の内のオフィス街を、コスプレ集団がジャックしてしまったと想像していただければいいだろうか。

 会場内は参加者でごった返していたが、その半分くらいは、何らかのコスプレをしていた。日本のマンガ・ゲームのキャラクターであれば全てOK、なおかつ、どうやらコンテンツをほぼリアルタイムで視聴しているようで、例えば「魔法少女まどか☆マギカ」のキャラクターは当然のように(しかも性別人種年齢問わず)存在していた。キュゥべえの男性擬人化などという非常にタイトなネタまであったのは、驚き以外のナニモノでもなかった。ちなみに一番笑わせてもらったのはNyan Cat Train。電車ごっこのように、Nyan Catのキャラクターをボードで切り抜いて身体の左右にぶら下げ、その姿で会場中を走り回っていたのだが、大勢の参加者が勝手に列をなして、歓声を上げながら後を付いていっていた。日本のイベントでは、まずお目にかかれない光景だ。

 会場内の雰囲気は一種の集団催眠状態。通路のそこかしこでキャラの決めポーズを取ったり、公式・非公式の「ギャザリング」(同じ作品のコスプレをした人たちが集まって記念撮影したり、ラジカセの音楽に合わせて踊ったりする)が会場の内外で見られた。参加者はみな物販やイベントより、そちらをメインの目的にしているのではないかと感じられたほどだ。これを4日間ほぼぶっ続けでやっているのかと考えると、いい意味であきれ返るしかなかった。

 米トヨタは、カローラの痛車をコンベンションセンターとNOKIAシアターの前に計3台持ち込んでいた。また、会場でアンケートに答えるとポスターがもらえた(私がもらったのは2種類)。ロスまで来て、デイパックにポスターを差して歩きまわるアキバファッションをすることになるとは全くの想定外。やるなトヨタ。


ライブ会場のNOKIAシアター前

 MIKUNOPOLISのライブは、ほんのわずか当日券があったもようだが、すぐに売り切れてしまったようだった。

 ライブでは、前から10列くらいがVIP席だったもよう。最初は呆気に取られて座っているようだったが、そのうち手を振り出し、最後はほとんど総立ち。ちなみに1階の後ろの座席は、3曲目くらいから総立ちだった。

 曲への反応は、非常にビビッド。イントロが流れた瞬間に会場全体が絶叫し、日本語で歌う。そして、リン・レンと、ルカが登場したときの悲鳴は、言葉で表現できない。あの、全ての客席が文字通り熱狂する様子は、壮観というしかない。

 ディラッドボードに投影されたキャラクターは、非常になめらかな動き。おそらく全て作り直したのではないかと思う。また、スクリーンに投影された映像のカメラワークも、抜群だった。後日、もし今回のアクトがDVD・Blu-rayでリリースされるなら、ぜひその精緻なグラフィックを堪能していただきたい。

 ライブ後、あちらこちらから「awesome」「oh my god」「amazing」などの単語が聞こえてきた。全員が満足気な笑顔をたたえ、女の子たちは涙を流して抱き合い、わたしに片言の日本語で「よかった!」「最高!」と話しかけてきたティーンもいた。握手も求められた。彼ら彼女たちが心から待ち望んでいたものを、ついに見ることができたという充実感が、シアターの周囲全体を支配していた。近くのホテルに泊まっていた参加者は、どうやらそのまま夜更けまで(中にはコスプレのままで!)街中で盛り上がっていたようだった。

 仮に次があるなら、この熱さをできるだけ多くの曲の作り手に体験してほしい。あなたたちが創った曲が、日本語のまま受け入れられ、最大限にリスペクトされている。あの手応えを知ってしまった以上、先はまだまだ続いていることを強調しておきたい。

筆者紹介

パッチワークPはVOCALOID聴き専によるコンピレーション専門レーベルLollipop Logicの主宰。VOCALOID楽曲を紹介する@vocalosong1topiのキュレーターを担当している。


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る