ニコ動とジブリは「サブカル界の正反対」 ドワンゴ川上会長、2足のわらじで見つめる未来(2/3 ページ)
ドワンゴ川上会長は昨年末からスタジオジブリのプロデューサー見習いをしている。ドワンゴに出社するのは週1回。ジブリ流をドワンゴに持ち込み、ニコ動の未来を模索する。
――ニコニコ本社がオープンしてから約半年経ちましたが、何か変化はありますか。
ニコニコ本社を作ることをニコニコ大会議で発表したときの会場の凍りついた空気は、「やったー」って感じでした。イメージを変えたいわけですから、「なるほど」とか思われても困るんですよ。だけど半年経ってなじんできましたね。
Twitterを見ていても、最初は「なんでニコニコ本社は秋葉原じゃないの?」という書き込みがあったけど、今は激減しています。その代わりに「ドワンゴって本社が原宿だよね」みたいなつぶやきが増えていて(編注:ドワンゴの本社は東京・浜町)……。過去が消え去りかかっている(笑)計算通りって感じです。人間は言霊に支配されますから! 実際にニワンゴは登記を原宿に移したので本当に本社なんですけどね。
極端な話、ニコ動って人生に必須かというと、必須な人も多いけど、どうだっていいものじゃないですか。どうだっていいっていう人たちが持つニコ動のイメージが(ニコニコ本社によって)変わってくることで、色んなユーザーが過ごしやすくなるんじゃないかな。
――拠点を持つことで、テレビCMなどとは違ったプロモーションにもつながっていそうですね。
着メロをやり始めたころはテレビCMでプロモーションをしていました。IT企業でテレビCMを大量投入したのは、ドワンゴが最初だったと思うのですが、その手法は使い古されているなと思っています。違った形でプロモーションするにはどうすればいいかと考えたとき、ニコファーレやニコニコ本社は手間がかかるけれど、コストパフォーマンスは高いと思っているんです。ニコファーレもめちゃめちゃ話題になると思いますよ。
もう1つの狙いとして、ネットサービスにリアルな箱がくっつけば世界でどの会社も出来ないようなサービスが作れるのでは――とも考えています。
ITの歴史を見ると、ソフトウェアだけのイノベーションには限界があります。これから新しいジャンルのWebサービスが出るかというと難しいと思うんです。コンテンツってハードの性能に依存するんですよ。新しいハードが出ると新しいコンテンツが出来る――という文化をソフトウェア産業は繰り返してきました。AppleがiPhoneやiPadでこれほど影響を与えられたのは、ソフトとハードを一緒に提供したからだと思います。
――ニコニコ本社やニコファーレという“ハード”と組み合わせることで、新しいものを産み出そうという試みなんですね。
最初はだじゃれから始まったんですけどね(笑)
――ニコニコ大会議は台湾でも大盛況でしたが、ニコニコ本社のような拠点を海外に作る予定はありますか。
海外拠点もアリだと思います。ニコニコ本社・台北店とかやりたいですよね。そうやってもっとリアルな場所から認知させていきたいです。
「サーバの改善に全力を注ぎます」
――「ニコ動が重い、遅い」との指摘がユーザーから挙がっているようですが、今のニコ動の課題は何でしょうか。
ニコ動は肥大化してきていてシステムの修正が難しくなってきています。今のサービスに新しい機能を付加しようとすると、ちょっとした変更でも大プロジェクトになってしまって、昔みたいに新しいサービスが出来にくくなっています。あまりにもひどすぎるということで、先月(5月)開発体制を変えました。いくつか進んでいた新規プロジェクトを凍結して、サーバの改善に全力を注ごうとしています。
――凍結したプロジェクトって何ですか!?
それは内緒です!
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