メジャーを狙うジャニーズJr.みたいだった――終了したサービスの経験を語る「失敗カンファレンス」が大盛況:「Vox」「nowa」を覚えてる?(3/3 ページ)
シックス・アパートの「Vox」やライブドア(当時)の「nowa」など終了したサービスの担当者が経験を語る「失敗カンファレンス」が大盛況。nowaの担当者は「自分のセンスのなさを直接批判される感じがして」辛かったと当時を振り返り、最後を看取る重要性を説く。
最後を看取る重要性
失敗をどこで判断するか、どのタイミングで手を引くかは非常に悩ましいポイントだ。いちるさんは「皆におすすめできるルールではないが」と前置きしつつ、マイルールは「ダメだと思ったらすぐにやめる」ことだと話す。「名残惜しい気持ちがあるくらいの時点でさっさとやめる。株の損切りと同じ」だ。
一方、最近は経営層に近いところでサービスの選択と集中を決断する立場にいるという佐々木さんは、失敗を判断するポイントについて次のように話す。「サービスをやめてほかに突っ込んだら、そっちが目に見えて伸びる。良い判断したように感じるんですけど、もう1段階選択と集中を進めたら、もっと伸ばせたのではないかと、パラレルワールドにいるもう1人の自分と比較しなくてはいけない」。
失敗が分かったときに何をすべきかという議論では、パネラー5人が「モチベーションの維持が重要」という意見でまとまっていた。関さんは「Voxは終了をアナウンスしてから30日後で閉めたが、その期間のモチベーション維持が大変だった。レイオフもあって全部知っている人がCTOしかいないような状況だった」と振り返る。
佐々木さんはnowaをクローズしたとき、すでに別のプロジェクトへ移っていた。「葬儀ができなかったことで供養できず、3年間引きずってたんです。あの時ちゃんと最後まで担当していればソーシャルコンプレックスをこじらせなかったのにと思うんですよ」と、“最後を看取る”重要性を説く。
赤松さんは「モチベーションをなくすと猛烈に効率悪くなるじゃないですか。それってもったいないんですよ」とコメント。尾下さんは「モチベーションを維持するにはPivot(方向転換)かなあと。ノウハウとか資産とか残ったものを次に生かしてビジネスやっていこうよっていう話かなと思っている」と語った。
いちるさんは「やめるときにできるだけ最後にキレイな花火を上げよう、きれいなお墓を作ろうという風にしてます。きれいな終了ページを用意したり、『どうだった?』ってUstreamで座談会したり。少しでもよかったなと思えるように最後少し上げてから終わる」と話す。いちるさんいわく「ろうそくが消える瞬間にちょっと燃え上がるみたいな感じ」。あの日消えた“火”は今、形を変えてほかのサービスに受け継がれているに違いない。
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