国宝がWeb上にずらり Googleアートプロジェクトに東京国立博物館が参加する理由:70億画素の超高解像度画像も
東京国立博物館など国内の6施設が「Googleアートプロジェクト」に。高解像度画像で国宝や重要文化財の細部を確認できる。
世界各地の美術館をネットで見られる「Googleアートプロジェクト」に、日本の施設がこのほど加わった。足立美術館、大原美術館、国立西洋美術館、サントリー美術館、東京国立博物館、ブリヂストン美術館の6館。国宝16件、重要文化財51件を含む、美術作品567件の高解像度画像を公開している。
国宝「観楓図屏風」(狩野秀頼/東京国立博物館)と名作「紅葉」(横山大観/足立美術館)の2作品は「70億画素」の超高解像度で撮影した。画像を拡大すると、肉眼では捉えづらい細部の筆致まで確認できる。
東京国立博物館と足立美術館はストリートビューで館内の様子も見ることができる。展示スペースを実際に散策するような気持ちでたどり、気になる作品があったら「+」ボタンをクリック。すると作品ごとの詳細ページに遷移する。足立美術館のストリートビューでは日本一とも言われる庭園が窓から臨める。
東京国立博物館が参加する狙いは
東京国立博物館は従来からWebサイトで約600件の作品を公開している。国宝・重要文化財の画像を閲覧できる国立文化財機構のサービス「e国宝」にも参加しており、公式iPhoneアプリもある。そんななかでGoogleアートプロジェクトに参加する狙いはどこにあるのだろうか。
同館学芸企画部の小林牧広報室長は「東京国立博物館の来場者の2割は海外からだが、首都・東京にある国立の博物館としてはもっと多くて良いのでは」とかねてから思っていた。Googleアートプロジェクトに参加することで「日本の美術が世界のプラットフォームに乗っかった」と期待を込める。
作品がネットで見られるようになると同館の来場者が減るのでは、という懸念に対しては「バーチャルはどこまでいってもバーチャル。本物には敵わない。足を運んで見たときに感動を得られるはず」と小林広報室長。Webで公開することでデメリットよりも「広く世界中に知ってもらうメリットが大きい」と判断した。
Googleアートプロジェクトに日本の施設が加わったことを記念して、4月9日に東京国立博物館でテープカットが行われた。銭谷眞美館長は「日本の美術文化を広く世界に知ってもらう行動をすることにした。大きなチャンスだと思っている」と意気込んだ。グーグルの徳末健太郎製品開発本部長は「日本の文化を世界中に発信する協力ができることをうれしく思う」とコメント。ゲストで登場した元文部科学副大臣の鈴木寛参議院議員は「世界中の文化遺産にアクセスできることで、人間の持つイマジネーションやクリエイティビティーが創発される」と語った。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 世界の美術館をネットで見られる「Google Art Project」拡大 MoMAや東京国立博物館も
世界の美術館のアート作品の写真や、美術館内部をストリートビューで見られる「Google Art Project」が151の美術館に拡大した。 - Googleストリートビューにアマゾン川流域の写真 バーチャルで密林探検
一般人立ち入り禁止の場所が多いアマゾン川流域の写真を、Googleストリートビューで見られるようになった。 - Googleストリートビューの海中版「Seaview」 バーチャルダイビングができる
Googleがグレートバリアリーフの科学調査に参加し、ストリートビューのような360度パノラマ海中写真を公開する。 - Googleストリートビューにロシアの写真 赤の広場やクレムリンを散策
ストリートビューでモスクワやサンクトペテルブルクの写真を見られるようになった。 - Googleストリートビューで洞窟探検 石見銀山の坑道や秋芳洞の写真を公開
山口県の秋芳洞と、島根県・石見銀山の坑道「大久保間歩」の中が、Googleマップのストリートビューで確認できるようになった。 - Googleマップに嵯峨野トロッコ列車のストリートビュー 保津川渓谷の紅葉広がる
嵯峨野トロッコ列車から見える保津川渓谷の風景がGoogleマップのストリートビューで確認できるようになった。 - 無茶しやがって……!:ダリやムンクも実写化 名画を写真で再現するプロジェクトが面白い
有名な芸術作品を写真で再現する「Remake」プロジェクトでは、サルバドール・ダリなどシュールな絵も強引に実写化しています。