ニュースサイト「GIGAZINE」が掲載した「CEDEC 2012」の取材記事について、参加者やメディア関係者からの批判が集まっている。一般社団法人コンピュータエンタテインメント協会(CESA)は8月24日、CEDEC 2012公式サイト上にて「一部メディアにおけるCEDEC取材規程違反の報道記事について」とのお知らせを掲載した。
問題視されているのは、GIGAZINEの記事がほぼ、講演内容の「全文起こし」であるという点。CEDECでは取材規定として「全文起こし」と「タイトルページ以外のスライドの掲載(こちらは講演者の許諾を得れば可)」を禁止しており、GIGAZINEの記事はそのどちらにも違反しているということになる。
上記お知らせ内には「記事の修正または削除の対応を要請しております」とあるが、8月24日午後10時時点、GIGAZINE側に修正や削除に応じる様子は見られていない。ちなみにCEDEC事務局に問い合わせたところ、少なくとも昨日(23日)の時点ですでに修正・削除要請済みとのこと。GIGAZINEでは24日以降も同様の「全文起こし」記事を掲載し続けており、意図的に要請を無視しているものと思われる。
関係者からの非難も多く、Togetterにはまとめも作られた。全文起こし自体の是非はともかく、少なくとも「取材ルールには従うべき」、「これを認めてしまうとCEDEC自体の価値を損なう」など、Twitterでは否定派が大半。また、そもそもCEDEC自体が有料のカンファレンスであり、それを全文起こしという形で掲載してしまうのは「ビデオカメラ持ち込んで撮って公開するのとあまりかわらん」という意見もある。
講演者の1人でもあるジャーナリストの新清士氏(@kiyoshi_shin)はTwitterで、「典型的なフリーライダーのケース」とGIGAZINEを非難する一方、「CEDEC事務局はこのまま放置しておくの? 私は講演をする側になることもあるけど、同じことをやられることを認める前提なら、取材が入る事を拒否します」と、事務局の対応の甘さにもチクリと言及している。
8月27日午後1時追記
CEDEC事務局からは当初、8月23日の時点で要請中と聞いていましたが、正確には「8月23日時点では運営委員会内で要請内容について協議中」で、実際に内容の修正・削除を要請したのは8月24日になってからとのこと。とは言え、いずれにしてもGIGAZINE側に要請に応じる姿勢は見られず、8月24日以降も同様の「全文起こし」型のリポートを新たに掲載し続けています。
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