3月2日、京都府舞鶴市の舞鶴赤れんがパークの新しいロゴが発表された。そのロゴが、ちょっと変わっている。伸び縮みする、色(カラーコード)も正確には決まっていないロゴなのだ。
舞鶴赤れんがパークは、明治から大正時代にかけて旧海軍が築いた赤れんがの倉庫群が並ぶ場所。当時兵器庫などとして使われており、今では12棟のうち5棟が公開。国の重要文化財にも指定されている。
舞鶴赤れんがパークの新ロゴは、そんな赤れんが倉庫のシルエットをイメージした赤と、海(港)を思わせる青からできているが、色も形もはっきりとは決まっていない。例えば、ローカルな雰囲気を表したければなんとなく赤と青だけど枯れた感じの少し落ち着きのある色を使ってもいいし、現代的な雰囲気を表したければポップな蛍光色に近い赤と青を使ってもいいという。言ってしまえば、「だいたい赤」と「だいたい青」であればいいのだ。
また、使用する媒体によって形も変化できる。例えば扇子にロゴを記す場合、赤と青の線でロゴを描いてもいいし、霞柄で描いてもいい。型や規定にとらわれず、使う人が選べるようにしたのが、この新しいロゴである。
ロゴのデザインを行った北川一成さんは、「デザイン」について「自分の手を離れるところまで」と位置づけ、「デザインには限界がある」と語る。筆者はしばらくこの意味を理解するのに時間がかかってしまったが、おそらくこういうことなのだと思う。「人の経験まで含めた全てをデザイン」とするのではなく、「人」が介在することで完成するちょっとした「空白」のようなものをあえて残しておく「デザイン」。そうすることで、ある最後に人がいて、完成する。
この新しいロゴをそういう目でもう一度見てみると、ただ、形が変わり色が自由なだけではない。そこに人が介在して、その人がそれぞれの解釈をして、はじめてそのロゴが意味を持ってくる。形や色が変わるのは、そういったことから生まれる必然性なのではないかとさえ感じた。
北川さんは言う――「ペタッと貼るロゴではない。人によって長さが変わる、意味を拡張できる、使う人が参加できるのが、この新しいロゴ」。
(太田智美)
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