「もっと人間らしい仕事がしたい」「アニメ業界は一度滅びたほうが良い」――JAniCA、アニメ制作者の実態調査結果公表 厳しい労働環境浮き彫りに
賃金や労働時間についての訴えや、業界の構造的問題を指摘する声も。
日本アニメーター・演出協会「JAniCA」は4月29日、文化庁の委託により調査を行っていた「アニメーション制作者 実態調査報告書 2015」をホームページ上にて公開しました。報告書はPDFファイルで配布されており、誰でも閲覧可能となっています。
調査は昨年8月から9月にかけて行われたもので、有効回答は759人。調査概要については、NHKニュースが28日の時点で「アニメ若手制作者 平均年収は110万円余」と報じ、ネットでも大きな話題になっていました。
今回公開された報告書では、アニメーション制作者の実態について、仕事の内容、就業形態、平均作業時間、年間収入など30項目近くにわたり調査。また原画、シナリオ、絵コンテ、動画といった就業属性別の集計結果も公表されています。
すでに話題になっているように、特に衝撃が大きかったのが年間収入。回答者全体でも平均332.8万円と、全国平均値(約414万円)に比べて低い水準にとどまりましたが、さらに就業属性別で見ると、若手の多い「動画」では111.3万円、「第二原画」で112.7万円と、就業属性による収入格差が非常に大きいことが浮き彫りになりました。また、1カ月あたりの作業時間も平均262.7時間と、これも全国平均(168.4時間)を大きく上回っているほか、さらに全体の15.9%が「350時間超」と回答していたことも分かりました。
報告書の後半は回答者による自由記述となっていますが、ここでも、
- 物価が上がっているのに、単価は上がらないまま、仕事の内容はどんどん重く(線の量、絵柄)なっていて、ごくごく普通のアニメーターは、本当に月1回くらいの休みでずっと働かないと収入が得られない現状です(略)[女,20代,原画]
- もっと人間らしい仕事がしたいです(略)。夜には家に帰って寝たいです。ごはんもちゃんと食べたいです。日曜くらいは休みたいです。いや……日曜じゃなくてもいいので週一くらいは休みが欲しいです。とにかく今は休みたいです。手が痛くて辛いです。[女,20代,原画]」
- 将来や老後が不安でしかたがない(略)。常に辞める事が頭をチラついている。将来は過労で死ぬか、ホームレスになった後のたれ死ぬんだろうなと思っている。[女,30代,原画]
――など、賃金・労働時間についての訴えが多く見られました。
また、
- アニメ業界(特にテレビアニメ)は一度滅びた方が良い。[男,20代,演出]
- 中抜きのやりすぎは業界全体の衰退につながっているようなきがします。[男,20代,作画監督]」
- アニメーターや制作を管理育成してこなかった事の弊害がどうにもならないところまで来た感があります。管理されて来なかったために、単価あたりの能力(期間含め)に個々の開きがあり、管理出来ない状態になってきています。管理出来ない為非常に非効率になり予算の超過と労働時間の超過でスケジュールが破綻しそれが品質を著しく低下させている原因になっていると思います。(略)[男,40代,撮影]
――など、業界の構造的問題を指摘する声も目だっていました。
そのほか、調査の全容はJAniCAのホームページを参照。
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