2016年2月1日に実施された国士舘大学(東京都)の入試試験で、漫画「ジョジョの奇妙な冒険」を用いた問いが出題されました。問題の導入にジョジョのストーリーを扱いながらも、作品を知らなくても各設問を解ける内容になっており、Twitterではユニークな取り組みとして評価の声が上がっています。さすが私立! 国立にできない事を平然とやってのけるッ!
出題されたのは、前期入学試験(A日程)における選択科目「地理B」の題3問。ジョジョの第3部「スターダストクルセイダース」が、主人公たちが日本からエジプトまで旅するロードムービー形式の作品であることを説明し、彼らの旅のルートを地図で示した上で、10個の小問に答えるというものです。ジョジョを読んだことがある身でこんな問題を目の当たりにしたら、心臓ドドドド高ぶりそう。
小問は主人公であるジョースター一行の旅路に沿って進んでいきますが、いずれも解答にジョジョの知識はまったく要りません。問2「一行はホンコンからホーチミンを目指して海路を取るが、南シナ海で再び遭難する。この海域にあり、近年中国が周辺諸国と帰属をめぐって対立している島として適当なものを、次の1〜4から一つ選べ」などなど、出てきた地名をとっかかりに、作品から独立した地理の問題に挑む形になっています。
しかしなぜまたジョジョを試験問題に使ったのでしょうか。国士舘大学の広報課によると、「出題内容であるアジア〜北アフリカの地誌を解くにあたって、受験生が対象地域をスムーズにイメージするための導入部分として用いました。また、地理という科目は我々の日常生活と結びついており、身の回りのいろいろなところに地理的なものは転がっているのだということを、多くの人に知ってほしいという意図もあります」と、理由を説明。
「もちろん『ジョジョの奇妙な冒険』そのものを問題にしているわけではないので、この作品を読んだことがある受験生と、全く知らない受験生との間に、問題を解答するにあたって有利・不利がないような問題となっています」と、作品の既読未読で不平等が生じないよう配慮していたそうです。
ちなみに国士舘大学が入試試験で、マンガやアニメ、映画などエンタメコンテンツを用いたのは今回が初めて。そこでジョジョを選んでくるセンスにシビれる! あこがれるゥ! 「本作中に描かれるアジア〜北アフリカのさまざまな文化や風俗は、地誌的に見ても十分に興味深い」と紹介したり、最後の問10でも「一行はナイル川を下り、ルクソールを経て、ついに宿敵ディオとの最終決戦地カイロにたどり着く」とちゃんと旅の終点を書いて締めくくったりと、問題の端々からジョジョ愛が伝わってきます。
Twitterでは受験生が「入試問題でJOJOが題材になってた笑 ビックリして選択科目じゃないけど見てたわ笑笑」と問題用紙の写真を投稿するや、1万7000回以上リツイートされるなど話題に。
「ちょいちょい、飛行機が墜落したり遭難したり決戦したりって説明入ってるのが笑いを誘う」「これが『第3問』になっているところにも、思い入れを感じる」と出題側のユーモアにほっこりしたり、「導入がジョジョなだけでまともな地理の問題じゃないか!」と試験問題として成立している点を称賛したりと、さまざまな反応が見られます。「来年はイタリア旅行の話かもしれない」と第5部の登場を期待する声も……ジョジョ問題が国士舘大学の伝統芸となったら、それはそれで最高に「ハイ!」ってやつな展開です。
(黒木貴啓)
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