「1999年が近づいてきてヤバいと思った」 伝説の漫画「MMR」を作った男たち タナカ・イケダ・トマル隊員インタビュー(後編)(4/4 ページ)
まさかの「復活予告」も!
ギャグのつもりは全くなかった
―― 今では「なんだってー!」のアスキーアートがネットで使われたりしてますが、当時から「笑い」は意識してましたか?
タナカ いや、まったくないです。「なんだってー! という漫画ですか?」みたいな反応を聞いて、そこが受けてるんだ、じゃあ漫画でもどんどんやっていこう、というのはありましたね。でも、ギャグとして発信したつもりはなかった。
イケダ どちらかと言うとドキュメンタリーを意識していて、笑わせてやろうって感覚は全然ないんですけど、そう捉える読者もいるんだなと。「男の友情を描いたのにボーイズラブと受け取られる」のはよくあることですし、逆にそれを意識した匂いがあると避けられますよね。
―― 大真面目な作りだから面白いと。「話は聞かせてもらったぞ!」も別にギャグじゃなくて、話をスピーディーに展開させるためですよね。
イケダ ものづくりの醍醐味なんでしょうね、予想もしない形で波及していくという。当時のアンケートでは、大学受験を控えた年ごろの子がビビッドに反応してましたね。大人ならギャグに見えるけど、子どもだと真面目に怖がられる。
―― 読者が歳を重ねるに連れて、楽しみ方も変わる漫画ですよね。
イケダ それは僕らも一緒でしたね。水曜スペシャルや木曜スペシャルにしても、今思うと馬鹿馬鹿しい話だけど、子どものころは本当に怖がってたし。本当に火星人や地底人がいるんだと思ってましたから。
「MMR」1回きりの復活予告!?
―― アマテラスで「MMR」が復活したのは、どういう経緯だったんですか?
トマル もともと「MMR」は読者とコミュニケーションを取っていた漫画ですし、アマテラスにもユーザーと交流できる企画があるといいよね、と講談社の社内でタイトルが上がって。ちょうど僕がいるから「MMR復活編」を作るのがいいんじゃないの、というのが始まりだったんです。それでキバヤシさんにもご協力していただいたんですが、正直言ってマンパワーが足りなかったので、うまく回らなかったのが反省点ですね。
―― とてもそうは思えない、絶好調の滑り出しでしたね。
トマル やっぱり漫画を作るのは楽しい、でも僕1人になってしまってどうしようと。それで、キバヤシさんに「ノストラダムスの話は(連載終了と世界滅亡予定の)99年一杯まで使いきってます。じゃあ何の謎を解けばいいんでしょう?」と相談したんですよ。そのとき、キバヤシさんはあくまでノストラダムスでいこうと。「ノストラダムスは1999年に世界が滅びるとは言っていない!!」とちゃぶ台返しの発言をされて、まさに「なんだってー!!」ですよ。
―― 「1999年こそ真の恐怖のタネが生まれた年だったんだよ!」とキバヤシさん本人が言うなら、まぁしょうがないですよね(笑)。
トマル でも2010年代になると、我々が90年代に独自に調べていたことがネットで誰でも調べられるようになったので、ネタ作りが大変になってしまって。情報を探すのは便利になったんですが、ネットに載ってない解釈をしないといけなくて、1人だと苦しかったですね。メルマガに移行してからはタナカさんにも参加していただいて、石垣さんともやり取りして、3人寄れば文殊の知恵で何とかなりまして。これが集合知なんだろうなと思いましたね。
タナカ 私が所属してる部署にアマテラスのチームがやってきたので、「MMR」やれよと言われて、2人でやることになってね。
―― 目に見えない糸で「MMR」メンバーが結ばれてますね
タナカ 漫画に出てないけど他にも関わった人たちはたくさんいますね。「MMR」好きの人たちは今でも結構いて、しっかりとバックアップする体制はできています。
―― メルマガで漫画連載する方式はあまり前例がないですよね。
タナカ 週マガから単行本を出してもらえる確約が取れたのは良かったんですが、1年間で単行本として成立するページ数を作らなきゃいけない。でも、発表する媒体がないじゃないですか。他の雑誌に持っていくわけにもいかないというとき、前の部長から「メルマガやらないか」と言われて。有料にして漫画を毎週載せて、石垣さんにも原稿料が入りますよ、とお願いして。さらに無料で読める分にはテキストで裏話を書いて……という形で続けながら、なんとか単行本にできるページ数が溜まったんです。
―― 3月17日に最新刊の「新生MMR 迫りくる人類滅亡3大危機(トリプルクライシス)!!」が出ますが、今後の展開はあるんでしょうか?
タナカ 「MMR」メンバーはみんなバラバラの部署にいるので一緒に出動するのは厳しいんですが、つい最近CIAが内部文書を公開しましたし、そこからスゴいものが出てきたりしたら、それをネタにして作るかもしれないですね。
―― 大事件が起きたらMMRが動くであろうと。
タナカ でも1回きりでちょっと復活しますよ。
―― な、なんだってー!!
イケダ どこでとはまだ言えませんが、1回だけ復活しますね。今回の単行本の売れ行きが良ければ、タナカさんは続きを作る気マンマンです。
―― 新生「MMR」が人類滅亡の危機を次々と暴き続ける日を楽しみにしてます!
(おまけ編に続きます)※3月12日掲載予定
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