常に考えているのは「いかに気持ちよく悔しがらせるか」―― 打越鋼太郎×加藤隆生「脱出ゲーム」極限対談【PR】(1/4 ページ)
「ZERO ESCAPE 刻のジレンマ」発売記念、打越鋼太郎 × 加藤隆生 極限対談 「脱出×リアル脱出」編。
2016年6月30日に、国内外で高い評価を得ている「極限脱出(海外ではZero Escape)」シリーズの最新作にして完結編となる「ZERO ESCAPE 刻のジレンマ」が発売されます。それを記念して本作のシナリオとディレクションを務めた打越鋼太郎さんが、複数のネットメディアでさまざまな方と対談します。
ねとらぼでは、リアル脱出ゲームの仕掛け人であるSCRAP・加藤隆生さんとの対談を掲載。デジタルとリアルで脱出ゲームを作り続けている2人に、それぞれの魅力や違いなどを語っていただきました。
SCRAPが初めてコラボした家庭用ゲーム作品は「極限脱出 9時間9人9の扉」
―― お二人が初めてお会いしたのはいつになるのでしょうか。
打越鋼太郎さん(以下、打越):
2009年に「極限脱出」シリーズ1作目の「極限脱出 9時間9人9の扉(999)」を発売したのですが、そのときにコラボ企画で「999」を題材にした「東京リアル脱出ゲーム 廃倉庫からの脱出」というイベントを開催していただきました。その打ち合わせでお会いしたのが最初ですよね。
加藤隆生さん(以下、加藤):
新宿にあったチュンソフト(現スパイク・チュンソフト)さんで打ち合わせをしましたよね。あのときは興奮しましたよ。なにせチュンソフトのゲームはいっぱい遊んできましたから。「かまいたちの夜」と「弟切草」の衝撃は鮮明に覚えていますし、「不思議のダンジョン」シリーズも全て遊んでいたので。ウチのスタッフに「なんでチュンソフトって名前か知ってる? 中村(光一)社長の“中”を取ってチュンソフトって言うんだよ」とか話して興奮してました(笑)。
打越:
僕と、当時のプロデューサーのイシイジロウと、弊社のスタッフが参加して打ち合わせをしましたよね。
加藤:
イシイさんがとにかくよくしゃべる人で(笑)。
打越:
そうですね(笑)。
加藤:
しかも頭がキレるから、どんどんアイデアが出てくるんですよ。「じゃあそれ時空をねじりましょう!」「実は過去だったことにしましょう!」とか、そういう話がよく出たのを覚えています。ブレストの仕方や話すテンポ、発想の内容などがゲーム会社ならではで、感銘を受けた思い出がありますね。
打越:
当時、リアル脱出ゲームはブームになりかけの状況で。ウチの人間が「面白いからぜひやりましょう!」と言っていたのでコラボが実現することになったんです。そのあとのリアル脱出ゲームは飛ぶ鳥を落とす勢いで。どんどん差が開いて遠い人になってしまったなと(笑)。
加藤:
そんなことはないでしょう、リアクションしにくいなぁ(笑)。
加藤:
それから4年ぐらいのブランクがあって。ある日突然、僕の頭の中に「リアルタイムループゲーム」というアイデアが、雷に撃たれたように舞い降りてきました。まずそれを、定期的にお会いしていたイシイさんにお話ししたんです。そうしたら「これはすぐに打越鋼太郎を呼ぶべきだ」とおっしゃられて(笑)。それで数年ぶりに打越さんと再会しました。
打越:
お話を伺ったらとても面白いアイデアで。それで加藤さんと一緒に作ることになって、1年半くらいかかって、今年の3月24日から公演が始まりました。
加藤:
デジタルの世界でタイムループ系作品のヒット作が多数出て、その概念がだいぶ浸透した今の状況で「アイドルは100万回死ぬ」をスタートできたのはラッキーだったなと思ってます。
打越:
「アイドルは100万回死ぬ」で特殊なのは、リアル脱出ゲームらしいパズルがないところですよね。そこにたどり着いたのは加藤さんのおかげです。
加藤:
これはネタバレじゃないので書いていただいて大丈夫なのですが、打越さんに最初に書いていただいたプランの中には「ここでSCRAPらしいパズルを!」みたいなことが書いてあったんです。でも僕は「パズルはいらないんじゃないですか?」と言い続けて。それで打越さんに書いていただいた原稿だけで成立するように作ったら、うまく行ったという感じでしたよね。パズルがまったくないというのは、本当に画期的だと思います。
打越:
あとアイドルの子がとてもかわいいのがいいですよね。本当にかわいいので、あの子を見に行くだけでも価値はありますよ(笑)。
―― ロサンゼルスでは「999」を題材にしたリアル脱出ゲーム「REAL ZERO ESCAPE」が公演中のようですが、こちらはどのような経緯で始まったのでしょう。
加藤:
アメリカのAKSYSさんという会社からウチのアメリカの事務所に連絡がありまして。その電話を取ったスタッフが大の「極限脱出」ファンで、その場で「やります!」と言っちゃったみたいな(笑)。事務所内に打越さんのサインを飾っているくらいファンなんですよ。
打越:
うれしい限りです。僕は一緒に食事をしながら簡単に話を聞いたくらいで、制作にはほとんど関わっていないのですがかなり面白そうでした。
加藤:
SCRAP AMERICAのチームと僕が打ち合わせをしながら作っていきました。ファンのスタッフが頑張ったかいがあって、「極限脱出」らしさがとてもよく出ています。ネタバレじゃない部分だけ話すと、各人に割り振られた番号に合わせてチームを作って、それぞれのチームが別々の部屋を探索して、Aの部屋の出来事がBの部屋に影響を与える……みたいな、「極限脱出」がベースにないと絶対に作れない内容でした。遊んでいただいたファンの方のブログに「これはZE(Zero Escapeの略称)そのものだ!」みたいな感想が書いてあったのはうれしかったですね。
打越:
僕のところに、ヨーロッパやアメリカの東海岸の人から「こっちでも開催して欲しい!」みたいなメッセージが来てました。今遊べるのはロサンゼルスだけなんですよね。日本も含めて、いろいろな場所でできるようになったらいいですよね。
加藤:
われわれは全然ウェルカムなんですが、今のところは具体的な話はないですね。いい場所が見つかれば……。
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