グッドスマイルカンパニーが創立15周年を記念し、特設サイトで映像作品「FUTURE FACTORY」を公開。鳥取県の楽月工場を舞台に、ロボットの「L.U.C.K.Y.(愛称らっさん)」が工場長として働く、フィギュア工場の未来像を描いています。
らっさんはとても人間くさいロボット。陽気な語り口調で視聴者を工場へいざない、フィギュアの製作工程を案内してくれます。工場では人間とロボットが共同で検品や彩色に従事し、ねんどろいどを製作。出荷用のドローンが一斉に飛び立つ姿も壮観です。
らっさんはアメリカでの開発中に日本へ輸入された設定で、年齢は50歳。AIは日本で学習され、人間らしい人格が形成されたそうです。耳の部分へ常に赤ペンが差し込んであったり、メンテナンスを怠ると関節痛になることをうったえていたりと、いかにも熟年の工場長らしい仕様が、事細かに設定されています。
グッドスマイルカンパニーは「フィギュア生産の現場において、人間の手作業に近い、もしくは同等の作業ができるロボットの導入が必要とされる時代が確実に来る」との考えから動画を企画。クリエイティブディレクターの齋藤精一さんを迎えて制作にあたっています。作中には、同社との接点を持つ片山右京さんや小林可夢偉さんら著名人も登場し、作品へのコメントを残しています。
制作者・齋藤精一さんからのコメント
架空の工場長であるL.U.C.K.Y ことラッさんは、ラッキー工場(楽月工場の愛称)に制作チーム、安田監督とロケハンに行った時に誕生しました。グッドスマイルカンパニーの15周年ということで、安藝社長と打ち合わせをしている時に、鳥取の倉吉に“グッスマ”としては日本初のフィギュア工場を作った経緯や海外の工場で行われているフィギュア工程の多さや課題、フィギュアづくりの奥深さ、グッスマの卓越した技術やこだわり、職人的な技術の必要性など様々なことについて感銘と衝撃を受けました。すべての工程は毎回違う形を扱うフィギュアづくりにおいて人間でしかできないものが多いことも理解した上で、次のような疑問が浮かびました。
「もしもこの工程をロボットが行ったらどのように見えるのか?」
「人間がいま働いているところで同じように活躍できるロボットとはどんなものなのか?」
「人間と共存して働くことができるロボットは何か?」
まだまだこれらの工程を行えるロボットは存在しないため、CG を多用して本映像を制作していますが、このまだ人類が解決しきれていない課題を真っ向から想像上で解決した様を「例」として作り上げたのがこの作品です。ヒューマノイドである意味はあるのか? 本当のAI は形を持たずもっとOS に存在するものでは? など、様々な議論が発生すると思いますが、その「疑問と議論」をいまの時代に誘発することが大事だと考えています。想像は頭のなかで閉じてしまうことが多くあります、しかしそれを映像化することで、様々な未来への軌道が見えることが必ずあると強く思います。この“グッスマ”らしい世界に向けた驚かせ方を多くの人に楽しんでいただければと思います。
(沓澤真二)
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