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トラフザメ、オスがいなくなると無性生殖する事例が確認 有性生殖からシフトするのは世界初

豪大学が発見。オスのパートナーから分離された数年後に、無性生殖で産卵しました。

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 オーストラリア・クイーンズランド大学が、メスのトラフザメが有性生殖から無性生殖にシフトし、オスなしで出産する事例を確認したとを発表しました。サメが無性生殖をすることは以前から知られているものの、有性生殖を経験したのちに行ったという報告は世界初となります。


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 1999年に捕獲され、オーストラリアの水族館に収容されたメスのトラフザメにはオスのパートナーがおり、2008年から何度も有性生殖による産卵を経験。2013年からパートナーと分離され、オスがいない環境に置かれたにもかかわらず、2014〜2016年のあいだにも2回卵を産んでいます。体内に精子を保存している可能性が疑われたものの、遺伝子調査で単性生殖を行うようになっていたことが確認されました。

 発表された論文では「脊椎動物の無性生殖は生殖機能のエラーであり、偶発的なもの」とする学説に対し「我々の研究は、異なるモデルを提唱する」と、無性生殖がオスのいない環境下での適応戦略として行なわれる可能性が示唆されています。


画像 トラフザメの出産歴。「F1」が該当の個体で、「F2」は同じ水槽で生活していた「F1」の娘にあたる個体。こちらも成熟後、無性生殖しています

 トラフザメはIUCN(国際自然保護連合)によって、絶滅する可能性があるとされている生物。今後は無性生殖で誕生した個体が、有性生殖できるのかどうか調査される予定。可能であれば、無性生殖が個体数を増加させるための切り札になるかもしれません。

マッハ・キショ松

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