「男性保育士には娘の着替えをさせないでほしい」は差別なのか――男性保育士を巡る千葉市長・熊谷俊人さんの一連のツイートがネット上で議論を呼んでいます。熊谷市長は男性保育士が活躍することを促す際、「女児の着替えや排せつに男性保育士を関与させない保護者がいること」が課題になっていたと明かすとともにに、男性保育士を巡る現状について「女性なら社会問題になる事案」と主張しました。
熊谷市長のツイートは、今月策定された「千葉市立保育所男性保育士活躍推進プラン」を踏まえてのもの。男性が少ない保育現場での男性活躍を促すため推進するために策定されたもので、女児の保護者から着替え・排せつに男性保育士が関わらないよう要請された例が問題になっていましたが、あらためて4月からの入所申し込みに「市立保育所は性別に関わらない保育を実施する」ことを明記したそうです。このことについて熊谷市長は「質の高い保育、職場環境、両面から見て男性の役割を高めていくことは重要です」と語っています。
男性保育士の厳しい現状を踏まえて語られた熊谷市長の主張に対し、ネットでは「千葉市の率先と英断を応援しています」「千葉市発信でこれがもっと広まって欲しい」などの賛同意見が多く上がった一方、「子どもの羞恥心に対する配慮であり、女児の親御さんが望むのは当然のこと」「性犯罪の加害者の九割が男性って事を考えたら、十分考慮する理由になる」など反対意見も上がっています。
熊谷市長は、これらの反対意見に対し自身のFacebookやTwitterで反論。「着替えや排せつは保育士にとって便の様子や皮膚疾患など、健康状態のチェックや虐待の形跡を早期に発見する上で欠かせない」「“男性は性犯罪の確率が高いのだから差別ではない”という考えを適用すれば、所得や国籍を元として犯罪率の高い層がさまざまな業種から排除される」「保育士による小児性愛事件という極めて小さな確率の事例で、現代社会では許容されない」など、さまざまな面から今回の問題について解説しています。
男性保育士を巡る現状について千葉市に問い合わせたところ、“女児の着替えや排せつに嫌悪感を持つ保護者は多いのか”という質問に対し、担当者は「多いということはないが、若干はいる」と回答。その背景として「他の自治体で男性保育士による事件が起きた際、千葉市の保育所側が自制する形で女児との関わりを減らす例がある」と明かしましたが、千葉市の男性保育士による女児への性犯罪は「少なくとも公立保育所では起きていない」とコメントしています。
また、千葉市の男性保育士からは「自分たちもプロなのに、なぜ着替えなどで女児の保育ができないのか」という意見は以前から挙がっていたそうです。
熊谷市長は自身のFacebookで「『男性保育士が娘の着替えや排泄に関わって欲しくない』と思うこと自体は否定されるものではない」としながら、「社会全体に男性・女性問わずに保育士の業務に対して理解が広がるよう努力する」と男性保育士を巡るこれからの取り組みを語りました。
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