長かった冬もようやく終わり、いよいよ春がやってきました。「どこかハイキングへ行きたいな、でもどこがいいかな?」と悩んでいたときに知ったのが「福知山線廃線敷」なるスポット。
なんと、昔電車が走っていた川沿いの道をそのままハイキングすることができるのです。鉄橋を渡ったり、トンネルなどにも入ることができてしまいます。しかも、大阪駅から電車で最短30分という驚異的な近さ。
これは身近かつ面白そうだと、早速お昼のカップヌードル(カレー味)と懐中電灯をリュックに入れ、出発しました。
JR生瀬駅より目的地へ
ハイキングの出発点は、兵庫県西宮市にあるJR生瀬(なませ)駅。平日だというのに、ナップサックを背負った方がちらほらと見受けられます。
廃線まではここから徒歩7〜8分。少々歩きますが、一定間隔で標識が設けられているので迷いません。
そうして到着したのが、福知山線廃線敷(別名:福知山線廃線跡、武田尾廃線跡)。ここはもともとJR武田尾駅につながる線路だったのですが、さまざまな事情から1986年に廃線。それ以来「廃線を歩ける秘密の観光スポット」としてハイカーや廃墟マニアが多数訪れるようになったのです。
JR側は一時期立ち入り禁止措置もとりましたが、開放を求める声に押され、2016年5月に本格的な整備を開始。そして同年11月、誰でも入れるハイキングコースとなりました。
トンネルに入り、鉄橋を渡る
この場所の魅力のひとつは、なんといっても廃線をお手軽に歩けること。例えば足元を見てみると、線路に使われていた枕木が残っています。
また、周囲を見回せば、駅として使われていたころの遺構が。これは廃墟マニアでなくとも興味が沸いてきますね。
さらに、鉄橋を渡ることもできます。整備前は端しか歩けなかったのですが、今は堂々と中央を渡ることが可能に。風に揺られながら激しく流れる武庫川の上を歩くのはちょっぴりスリリングですが、滅多にできない体験ですよ。
滅多にできない体験といえば、忘れてはいけないのがトンネルくぐり。この廃線には6つのトンネルが存在しています。
自動車のそれとは違って、中は電気が一切なく真っ暗。ひとたび足を踏み入れれば、距離感が失われてしまいます。懐中電灯の心許ない光だけを頼りに歩き続けていると、気分はあたかも暗い海の底を歩いているかのよう。足音と水音だけが響きわたる空間を、ひょっとするとこのままさまよい続けるのではないかと、不思議な気分になってしまいます。
その分、出口の光が見えたときは、達成感ひとしお。ものすごい大冒険をしたような感覚が味わえます。この怖さにもよく似た面白さ、ぜひ体感していただきたいですね。
武田尾の大自然を楽しみながらカップヌードルを
そして、もうひとつのみどころがその風景。中山連山と武庫川に面したこの廃線は景色も見応えがたっぷり。
廃墟マニアだけでなく、ハイカーにも人気の高い理由はこれです。秋には紅葉一色の眺めを、春には一面の桜を楽しむことができます。3月末に私が訪れたとき、まだ桜は開花していませんでしたが、既につぼみが開きかけている状態でした。4月の上旬から中旬が見所的にベストです。おいしい空気を存分に楽しんでいただくことができるでしょう。
さて、福知山廃線での風景をオカズに、ランチと行きましょう。
献立は、カップヌードル(カレー味)に加え、自家製の焼おにぎり。いずれも簡単なものばかりですが、外で食べるとより一層おいしくなります。
みごとな眺めを前によく焼けたおにぎりを頬張り、スパイスの効いた麺をすする。ささやかながらも味のあるぜいたく。これもまた、ハイキングの楽しみですよね。
電車ですぐ行ける大自然と廃墟
以上、福知山線廃線敷を楽しんできました。出発点となるJR生瀬駅やJR武田尾駅へはJR宝塚駅からそれぞれ5分、10分程度、JR大阪駅からでも30分ほどと非常に近いです。都会からこれだけ近くて大自然や廃墟が楽しめるスポットはなかなかありません。
この記事をお読みのあなたも、休日を利用してこの場所へハイキングに行ってみませんか? その際、お弁当と懐中電灯の用意を忘れないようにしましょう。
(エンジン)
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