迷宮の十字路(クロスロード)
京都の町で起こる連続殺人事件……とともに進展したりしなかったりする平次&和葉の恋と、新一&蘭の恋! 劇場版コナンで唯一、過去回想ではなく現在で新一が出てくるお話です。ラブコメとしての完成度が高いのもあって、ファンの間では非常に評価が高い一作。
これまでは「どうやって爆破するか?」だった劇場版コナンが、爆破を捨てて恋愛を中心に据えるという新しい試みをしています。そして犯人が強い(物理)。立て続けに起こす殺人の手際があまりにもすごく、さらに何度もコナンと平次の前に立ちふさがって殺そうとしてくる。犯人VS探偵(物理)を描いている珍しい作品です。
実はこの作品、思い出補正が強くて、記憶の中ではめちゃくちゃ面白いんですけど、こないだ金曜ロードショーで見ていたら特にトリック面で「当時はインターネットがすごかったんだなあ(棒読み)」という気持ちになってしまいました。記憶の中の本作は最高傑作です。
銀翼の奇術師(マジシャン)
再び怪盗キッドもの。劇団に宝石を奪いに来る怪盗キッド! それを阻止するコナン! そのお礼で招かれた北海道への旅、機上で劇団女優が毒殺される。さらに飛行機がコントロール不可能に。飛行機を無事に着地させ、全員の生還を目指せ――というサスペンスものです。
この作品のキズの1つは、殺人事件がどうでもよくなってしまうところ。なんのために機上で殺人事件が起こるかというと、「飛行機をコントロール不能にしてパニックものにしたい」という脚本上の要請としか思えないんですよね。前半がそこまで面白くないのですが、いざパニックになってからはもちろん爆発するし、管制塔とかぶっ壊すので面白くなってきます。
ミステリファンはあまり話題にしませんが、ちゃんと本作にもミステリ的なポイントがあります。それは「滑走路」。全てが滑走路に集約されていて、しかも怪盗キッドものじゃなければ出てこないアイデアで解決される。ハデで楽しいです。
水平線上の陰謀(ストラテジー)
また久々に来ました倒叙もの! 豪華客船もので、なんと主役が小五郎のおっちゃん。はっきり言ってハデではなく、一見すると地味な話。公式キャッチコピーは「シリーズ初の二重(デュアル)サスペンス」なんですが、全ての真相を知ると「めっちゃキャッチコピーでネタバレしてるじゃん!」とびっくりします。
開始5分で犯人の顔が映るし、手口も分かるのに、なお意外性があって、しかも探偵役がおっちゃん。うまくだまされると、この作品が一番驚きがあります。ミステリ好きな人には「この作品だけは絶対見ておけ!」と勧めています。
探偵たちの鎮魂歌(レクイエム)
……そんなに面白くない……。はしょっていいですか?
――すみません、もうちょっとコメントお願いします。
ダメですか……。ええと、ポスターに「オールスター勢ぞろい」と書いてあって、死んだはずの松田なんかも出てきそうな雰囲気を出していますが、当然本編には出てきません。事件の規模は本当に小さくて、横浜をぐるぐる回っている映画です。
紺碧の棺(ジョリー・ロジャー)
事件は面白そうで、トレジャーハンターがサメに襲われるんですけど……まあ……。
――渋い顔ですね。
つまんないよね……。なんか、子供向けに振りすぎた結果、ミステリもアクションも中途半端になった感じですね。これ見るくらいだったら有栖川有栖の『孤島パズル』読んでください。
戦慄の楽譜(フルスコア)
これは意外に良作です! クラシック音楽界を舞台に、音楽家たちが次々と殺される正統派ミステリ。面白いのは、音楽家で命を狙われるオリジナルキャラの女性がコナンの「相方」的ポジションになります。こういうのは意外と珍しくて、「戦慄」以外では後作の「純黒の悪夢」くらいじゃないでしょうか。
爆破ネタとしてもきっちりしていて、クライマックスの爆破がトリックと密接に関わったサスペンスになっています。「何が爆破のきっかけになるのか?」が分かると、ぐんとサスペンス度が上がります。あとはメインのネタじゃないんですけど、ダムに閉じ込められたコナンたちが電話を声でかけるシーンがあって、それは「マジかよ!」となるので最高に面白いですね。
――電話を声でかける……?
ネタバレになるんで、見て確かめてください!
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.