ロードバイクに取りつかれ、気付けば年間8000キロ。自転車沼にハマって出られなくなってしまった筆者の様子をお届けした記事前編では、「サイクリング=お菓子のトッポ」「自転車通勤ならドアツードアで座れる」など、筆者が日頃感じていることをご説明した。
今回の記事後編では、「でもお高いんじゃないの……?」という、これまたよくある疑問に答えていこうと思う。本記事を読み終わるころには、あなたもロードバイクが欲しくな〜る、欲しくな〜る……。
自転車=1分の1プラモデル説
お金の話を始める前に、まずは(後々つながってくるので)この話を聞いてほしい。
……1分の1プラモデル。
子どものころ、超合金ロボ、ガンプラにハマった世代なら、このフレーズの魅力が分かるはず。
自分好みにカスタマイズできるのも、ロードバイクの魅力。およそ全てのパーツを交換できるので、(パイプ径とか規格がマッチしている前提にはなるが)組み合わせは無数&自由自在。
ガンプラを例にとると、廉価版の縮尺は144分の1。そこからさらに100分の1、60分の1へとスケールアップしていくが、どうあがいても1分の1は作れない(お台場のアレを除く)。だが、自転車だとそれができる。いわば等身大モビルスーツなのだ。しかも自分の骨格にフィットする。オレ専用モビルスーツがほしくない人間がどこにいるだろうか? いるはずがない。
メカとパーツの無限大の組み合わせのおかげで、他人とかぶることなく、自分だけのマシンに仕上げる喜びがある。
「車でも同じことができるじゃん?」
いや、同じではない。車で可能なカスタマイズには限界がある。タイヤとホイールはいじれるとして、あとはせいぜい運転席をスポーティなものに替えるとか、足回りを触るとか、その程度。エンジンやトランスミッションを載せ替えるなんて、一般人には現実的ではない。
ガンプラを人とかぶらせないために、わざと違うカラーの組み合わせで塗り分けてみたり、デカールをズラして貼った記憶はないだろうか? 子ども心なりに、「人と同じでは嫌だ、ワンアンドオンリーな存在でありたいんだ」という気持ちがあった証拠である。
ロードバイクは全てのパーツが、比較的安価に取っ替え引っ替えできる。大人買いを心ゆくまで楽しめるのだ。なんなら、新しいフレームを買い直し、ホイール、ギア、シート、ハンドル、変速機、ブレーキ、タイヤ等、全てを引っ越しさせることも可能。車では無理な芸当も、ロードバイクなら簡単にできてしまう。
そのようにカスタマイズした自分だけの至高の1台をどうするか? リビングの一等地に飾り、一杯やりながらしみじみと愛でるのだ(下戸なのでコーヒーですが)。
「後ろ斜め45度、えもいわれぬセクシーさがある……(ハアハア)」
「カワイイよ、CSI(モデル名)タン、カワイイよ……」
40半ばのオッサンがニヤニヤ自転車を見つめる顔は、とてもではないが人に見せられない(よって、後ろ姿のみ撮影)。
自転車=オレ専用モビルスーツ説
ところで、ロードバイクのシルエットはモビルスーツに似ていることにお気付きだろうか?
モビルスーツは下半身にボリュームを持たせることで、重厚感と安定感を演出している。筆者がこよなく愛するジオン軍のドムを例にとると、ヒザからふくらはぎにかけて一気に厚みが増していることが分かる。現実世界ではありえない“末広がり”なプロポーションだが、これがかっこよさの正体。
腰回りの「スカート」も下に向かってサイズアップされており、遠くから見ると、そそり立つ二等辺三角形のようなシルエット。自転車もこのセオリーにのっとっていて、前後のホイールがいわば両足。地面をグッと踏ん張っている姿は、まるでドムのよう。
ちなみに、同じジオン軍の量産型モビルスーツ、ザクのふくらはぎはそんなでもない。連邦のガンダム、ガンキャノンもザク同様で、より人間のリアルな姿に近い造形だ。ドムのほうが明らかにマッチョ&漢らしさを感じる。
もうロードバイク=オレ専用モビルスーツというよりも、「オレ専用ドム」と表現したほうが適切な気すらしてきたが、これ以上語り続けると読者が静かに離れていきそうなので次に行く。
「リアディレイラー」を知っているか?
もう1つ、ロードバイク=モビルスーツ説を裏付ける証拠を指摘しよう。「リアディレイラー(rear derailleur)」の存在である。聞き慣れない言葉だが、「後輪の中心近くにあるギア変速機」といえば「ああ、あれか」と思い出してもらえると思う。
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