YouTuberヒカルの「VALU大炎上」とは何だったのか ヒカルがTwitterで経緯説明、暴落したVAは最高値で買い戻すと謝罪
VALU全体が大混乱に陥る騒動となりました。【訂正】
YouTuberのヒカル氏は8月17日、VALUをめぐる一連の炎上騒動についてTwitterで謝罪するとともに、自身のVA(VALU上で取引される株式単位)について最高値で自社株買いを行うと発表しました。また、騒動を受けてVALU側も特別措置を行うと発表しています。
市場操作、インサイダーを疑う声もあがった「売却騒動」
VALUは2017年5月にスタートしたサービスで、ビットコインを使った擬似的な株式(VA)を発行することで、自分自身の価値を売買できるというもの。ヒカル氏は8月10日に仲間のラファエル氏、いっくん氏らとともにVALUを開始、人気YouTuberという背景もあり連日ストップ高での買い注文が続いていました。
ところが8月15日になって事態は急変します。ヒカル氏らが突然、何の告知もなく所持していた全VAを自ら売りに出し、それまで高騰していたVAは暴落。ラファエル氏、いっくん氏もほぼ同時期に全VAを放出し、結局、ごく初期にVAを買っていた一部の人を除けば、株主(VALU保有者)のほとんどが大打撃を受ける形になりました。またこの高騰→売却の流れで、ヒカル氏らは数千万円単位の利益を得たとも言われています。
こうした行動に対し、株主からは当然、ヒカル氏らへの批判が殺到し炎上状態に。突然の大量売却もさることながら、特に問題視されたのは、ヒカル氏が当初自身のページ内に掲載していた「優待(VALU保有者が受けられる特典)」についての記載を削除していたこと。これについてネット上では「優待で買いを煽っていた」「市場操作になるのでは」といった声もあがりました。さらに、ヒカル氏らが所属する会社・VAZの顧問である“井川”氏が暴落直前に高値で売り抜けていたことから、「インサイダー取引ではないか」と疑う声もあがっています。
ヒカル氏謝罪へ、全VAを最高値で買い戻すと発表
こうした一連の騒動を受け、ヒカル氏は8月17日にTwitterでコメントを発表。今回の行動はもともと「自分たちの価値を比べて、誰が一番価値のある人間かを競う」という動画の企画だったと説明するとともに、「お騒がせして本当にすみませんでした」と関係者に謝罪しました。またこれに伴い、これまで売却したVAについては、過去最高値で“自社株買い”を行うと発表(ラファエル氏、いっくん氏も同様)。「わざわざ数千万のために自分の信用を落とすような小銭稼ぎはしません」と、もともとVALUで利益を得るつもりはなかったともコメントしています。
また、株主から指摘されていた「優待」記載については、初期設定時に入力していた優待履歴がタイムラインに残ってしまっていただけで、VALU販売開始時点では記載はなかったと説明。井川氏のインサイダー疑惑については、「僕たちが井川さんと連携して、井川さんに儲けさせたかのような事実はありません」と否定しました。
併せて、VALU側は8月16日、ヒカル氏らの騒動についてサイトで対応を発表。利用者保護の観点から、3人のVAに対する現在の売買注文を全てキャンセルするとともに、一連の取引で発生した手数料収入については、VALUと同様のミッションを掲げる組織に寄付する方針であることを明らかにしました。現在、3人および井川氏のアカウントには「このアカウントの出金を停止しています」という文章が表示されており、VAの換金が一時的に停止されているようです。
インサイダーには当たらない? 弁護士見解は
こうした行為について法的に問題はないのか、編集部では弁護士に見解をうかがいました。
【訂正:2017年8月17日16時10分 弁護士のコメントを一部削除しました】
廣江綜合法律事務所・廣江信行弁護士は、今回の件は、VALUが特定有価証券等に該当しないので、インサイダー取引規制の対象にはならないですし、風説の流布等のその他の不公正取引の規制対象になるかどうかは、VALUが金融商品取引法上のいわゆる「集団投資スキーム」に該当するかどうか等が問題になると指摘します。ただ、優待の内容や説明次第では該当する可能性がないわけではないものの、今回の件では優待の内容が明確でなかったこともあり、「該当しない可能性が高いと思います」と廣江弁護士。また詐欺罪にあたるかどうかについては「該当する可能性はありますが、そもそもVALUの内容が特殊で、さらに取引にVALU社が介在し、決済にビットコインを使用するため、要件をしっかり立証するのは大変そうという印象です」とのことです。
【訂正:2017年8月18日12時26分 廣江弁護士のコメントを一部修正しました】
ネット上でも今回の件については、VALUという場の特殊性を踏まえて、「おそらく違法ではない」との見方が主流です。ただ、それでも結果としては風説の流布やインサイダー取引にかぎりなく近いものであり、ヒカル氏や井川氏らのモラルを問う声は多くあがっています。
編集部では一連の騒動について、ヒカル氏らの所属会社であるVAZにも問い合わせていましたが(8月16日時点)、「会社としての公式な発表については現在検討中で、すぐにお答えするのは難しい」とのことでした。
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