先日、国民生活センターの理事が行った講演内容がネット上で話題となった。
主催者情報によれば、講演では水素水をはじめ、健康食品などに関する商品テストについても話されたようだ。これらは国民生活センターが行う商品テストの中でも、特に話題となることが多い品目だけに、講演の注目度も高かったのだろう。
筆者は過去に国民生活センター商品テスト部に在籍経験があり、この分野について人より詳しい自負はある。それでも、巷(ちまた)に出回る健康食品について、完全に正しい知識を持っているわけではない。
そこで今回、あらためて「水素水」や「バストアップに効く」「関節に効く」などの効能をうたう健康食品について、テスト結果をきちんと読み直してみた。すると、われわれがこうした健康食品とどう付き合っていくべきかが、よりはっきりと見えてきた。
水素水の商品テスト結果
水素水の商品テスト結果は2016年12月に公表された。テスト対象となった10銘柄も公表されており、いずれも2016年9月〜10月に購入されたもの。内訳は「アルミパウチ型」が6銘柄、「アルミボトル型」が2銘柄、「ペットボトル型」が2銘柄となっている。
※据え置き型の水素水生成器もテストしているが、ここでは説明を省略する。
水素水について、多くの人が気になっていた点は、主に以下の2点だと思う。
- 本当に水素が入っているのか?
- 水素水は健康にいいのか?
テスト報告書でもこの2点について、しっかりと言及している。
ペットボトル型では「水素は検出できなかった」
まずは1つ目の「本当に水素が入っているのか?」について見ていこう。
テストでは、商品パッケージに記載された「溶存水素濃度」と「開封直後の実測値」を比較している。その結果、アルミパウチ型とアルミボトル型の8銘柄では水素が検出されたものの、ペットボトル型の2銘柄では水素は検出できなかった。
水素が検出された銘柄でも、水素濃度の表示値が「充填時」「出荷時」と記載されていた5銘柄のうち、3銘柄は表示値よりも実測値が下回った。また、未開封状態のまま、室温(20度)で1カ月放置した場合には、水素濃度はやや低下した。
消費者が一気に飲み切らないことを想定したテストも行っている。開封してまず100mlを減らして測定し、ふたをして5時間室温(約20度)に放置、再び100mlを減らして測定した。この場合、5時間後には30%〜60%、溶存水素濃度が低下していた。ちなみに、テストをした10銘柄中8銘柄には、開封後はすぐに飲みきる旨の注意書きがある。
アルミパウチの6銘柄のうち3銘柄には、「飲み残す場合には水素水があふれる寸前まで空気を抜いてしっかりふたを閉める」という表示があり、この通りにすれば5時間後でも90%以上溶存水素濃度が残っていた。
水素水は健康にいいのか?
水素が含まれていたからと言って、効果があるかどうかは別問題だ。水素水の健康効果については、国民生活センターはテストをしていない。参考として、国立健康・栄養研究所が運営する「健康食品の安全性・有効性情報」のデータを紹介している。
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