常識を覆す「投げ」の排除、徹底再現されたドラゴンボールの世界観―― 「ドラゴンボール ファイターズ」はいかにして最高の格闘ゲームになったのか(2/4 ページ)
これは究極のドラゴンボールゲーだ。
待ち望まれる日米のヒーロー決戦
あらゆる格闘ゲームの猛者が集まる中、最強の筆頭候補とされているのが、CYCLOPS athlete gamingに所属し関西を拠点に活動する「GO1」(ゴーイチ)と、ECHO FOXに所属しアメリカで活動する「SONIC FOX」(ソニックフォックス)だ。GO1は並み居る競合をはねのけて闘会議2018の「ドラゴンボール ファイターズ」部門で優勝し、現在国内最強と目されるプレイヤー。対するSONIC FOXも海外の複数の大会で優勝し、最強プレイヤー候補として存在感を放っている。これまで特段の因縁はなかったはずの2人だが、今では「最強のドラゴンボール ファイターズプレイヤー」の肩書を巡ってお互いを強く意識しているようだ。
GO1は2月末に行われたMixUpNightというイベントで優勝し、直後のインタビューで「次はSONIC FOX、お前だ」と挑発的なコメントを残した。それを見たSONIC FOXも「来いよGO1、お前に誰がパーフェクトなのか見せてやる」とツイート。SONIC FOXはその後もネット配信で「GO1、お前はもう死んでいる」と発言するなど、2人の対立構造は国内外を問わず話題になっている。もともとGO1は「MELTY BLOOD」や「電撃文庫 FIGHTING CLIMAX」などの国産格闘ゲームで腕を磨いてきたのに対し、SONIC FOXは「Mortal Kombat」や「Injustice」といったアメリカ産の格闘ゲームで活躍しており、「日本産格闘ゲーム勢VSアメリカ産格闘ゲーム勢」の構図が色濃く出ているのも、注目を集める一因だろう。
猛者たちが切磋琢磨し研究が進む中、どのキャラクターが強くどういった戦術が有効なのかといったセオリーは世界的に見ても固まりつつあるが、この2人のプレイスタイルで明確に異なるポイントがある。「ベジータ」の評価だ。
「ベジータ」を酷評するSONIC FOX
ベジータは、控えのキャラクターを呼び出して攻撃させるシステム「Zアシスト」で真価を発揮するキャラクターだ。ベジータのZアシストは両手から連続でエネルギー弾を発射するというもの(いわゆる「グミ撃ち」)で、他のキャラクターと比較して広い攻撃範囲と非常に長い拘束時間を持ち、ベジータが起こす爆風によって視認性を極端に下げることもできるため、全キャラの中でも最高の性能を持っているといえる。恐らく格闘ゲームに精通しているプレイヤーなら「ベジータのZアシストが強力すぎる」と発売後数日以内には気付いただろう。
さらに、「Zアシスト」だけでなく、本体キャラクターとしてベジータを使用したとしても攻めの面でも守りの面でも特段欠点がない。そのため、国内では最強キャラの一角とみられており、GO1も発売当初から今に至るまでベジータを使用し続けている。その評価は、闘会議2018で上位入賞者全員がベジータを使っていたほど確固たるものだが、SONIC FOXによるベジータの評価はそんな常識を真っ向から否定するものだった。
SONIC FOXはTwitterで、自身の考えるキャラクターの強さランキングを公開している。「人造人間16号」「セル」「魔人ブウ(純粋)」「悟飯(青年期)」など、上位キャラクターの評価は日本国内のものとほぼ同列だが、「ベジータ」は平均以下という評価だ。SONICFOXは早い段階でベジータの能力に見切りを付けており、「ベジータはチーム枠の無駄」とすら発言している。もちろん、勝負を分けるのはキャラクター性能だけではないが、1人のキャラクターがここまで評価を分ける例は極めてまれだ。
3月16日(現地時間)から開催される世界大会「Final Round」で、2人の10本先取マッチが行われる予定だ。10本先取マッチで負ければもう言い逃れはできない。日本のゲームコミュニティーで育ったGO1が強いのか、海外産の格闘ゲームで鍛えられたSONIC FOXが強いのか――その答えはここで明確になるだろう。
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