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パターン青、相手は非ヲタだどうする!? 「ヲタクに恋は難しい」5話(1/2 ページ)

【ネタバレあり】ヲタクと非ヲタはそもそも単語が通じない。

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ヲタクに恋は難しい (C)ふじた/一迅社

 趣味人には好きなものがたくさんある。それが足を引っ張ることもあれば、趣味人だから人とつながるものもある。

 「ヲタクに恋は難しい」は、好きなものがある人間たちの、恋なのかなんなのかわからないモヤっとした感情を描いたラブコメディ。ヲタクのみならず、いろんな若い人の背中を押してくれます。


ヲタクに恋は難しい


弟が来た

 今回はガチゲーマーヲタク二藤宏嵩の弟、二藤尚哉君が登場する回。とっても爽やかな笑顔の優しい青年です。この兄弟、パッと見じゃ血がつながっているとは思えない。


画像 成海の過去の男か!? なんて勘違いされるのも仕方ない(2巻)

 シアトル系カフェで働いていた尚哉は、宏嵩同様に桃瀬成海の幼馴染。彼女ですら一瞬わからないくらい(1話だと、宏嵩のことはすぐ思い出している)だから、相当に見た目自体変わっているんでしょう。原作だと、過去のシーンで髪が黒いです。

 そんなんだから、奥にいた先輩の樺倉太郎小柳花子、成海の昔の男なんじゃないの、と勘違いするのも仕方ない。


画像 2人並べてみると、あらあらまあ(2巻)

 尚哉のキャラデザインが本当にうまい。見ての通り並べるとめちゃくちゃ似ている。特に顔の輪郭と目。これは誰が見ても兄弟でしょう。

 宏嵩はほとんど笑わないキャラ。一方で尚哉は感情表現が豊かでいつも微笑んでいるキャラ。なので顔の構造は同じなのに、いざ動くと全然似ていない

 性格は、宏嵩の方は「マイペースだけど一途でまっすぐな正直者」なのに対し、尚哉は「相手をいつも思いやる優しい正直者」という感じ。真逆っぽいようで、ニアミスしている。

 もうひとつ似ているのは、相手がヲタクであるか否かへの姿勢。2人共、相手の趣味嗜好に対して干渉も拒絶もしません。


ヲタクじゃない人間はそもそも言語がわからない

 ヲタクは専門用語が多すぎる。わきまえないと、わからない相手を放置してしまうことになる。作中のメイン4人は全員ヲタク。尚哉は一般人、「非ヲタ」です。言葉選びしなければいけないのです。


画像 OHカルチャーギャップ(2巻)

 女子高生用語がおっさんには伝わらないのと同じで、ヲタクの用語は非ヲタには外国語でしかない。「ガチ勢(ゲームに真剣に取り組んでいる人達のこと。反対は「エンジョイ勢」)とか、ゲーマーなら当たり前に使う単語。逆に会話の中で、どうわかりやすく話せばいいか、他の単語が思いつかない。


画像 ゲームの常識って、普通は知らんもんですよ(2巻)

 尚哉はゲームが笑えないほどヘタ。いや、でも、待って! ゲームしないで育った子なんていっぱいいるよ! むしろ宏嵩がやりすぎなだけだよ。これで尚哉を責めてはいけない。

 ヲタク4人組は、ゲームのセオリーをある程度知っています。キャラ移動の感覚とかは、ある程度やってきた人間は体でわかる、パッドを持てばなんとなく動かせる。でもやってこなかった人間は、画面のどこにいるかフッとわからなくなる。尚哉はここができないから「ドヘタ」になってしまう。

 ガチゲーマーの宏嵩は「むしろやりやすくなって助かる」(足を引っ張らないでくれるから)と冷酷非道なセリフを吐きます。でもこれも、ガチ勢的には親切だと思う。ゲームは真剣試合なのだから、むしろ手抜きをしたり遠慮をしたりするのは相手に失礼、という考え方だったら、変に気を使わないのもわからんでもない。でもデリカシーなさすぎるけど。

 このへんのさじ加減が本当にヲタクと非ヲタの間では難しい。同じことはスポーツや音楽にも言えます。専門用語が通じない、基礎基本ができない、どう教えればいいかわからない。趣味を知る人知らざる人の壁はあまりに分厚い。

 でも尚哉は宏嵩の弟であることと、彼の性格ゆえに、壁を一瞬で払拭しました。


もう一人の幼馴染として

 宏嵩と成海が付き合っている、という事実を知った尚哉。突然の涙。尚哉もまた幼馴染として、兄と成海を見続けてきました。加えて尚哉は共感力のアンテナが高い。兄の気持ちはなんとなーく察してきている。


画像 こいつ天使か(2巻)

 周囲の宏嵩の評価は「デリカシーがない」「空気が読めない」が多い。成海や樺倉が怒鳴り散らすのは、ここが原因。

 しかし尚哉は、兄が不器用すぎる、という面を見つめてきたようです。以前の回で、宏嵩は幼い頃楽しそうにしていた成海に惹かれていた話が出てきました。成海ですら忘れていたことを、もしかしたら、尚哉は気づいていたのかもしれない、と考えると彼の涙の重みがわかります。

 この作品では珍しい、非ヲタ視点の尚哉の存在は、とても貴重です。


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