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「在留カード渡さないと帰さない」 日本eスポーツ史上に残る“最悪”の汚点、「League of Legends」国内リーグで何が起こったか(2/4 ページ)

「League of Legends」の国内リーグを騒がせ、海外にも飛び火している“Dara選手引退”騒動について、Dara選手本人や関係者に取材しました。

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ひどいときには鼻血が毎日、何回も出た

 Dara選手によると、Rampage側のハラスメント行為はこれだけではなかったとのこと。以下はDara選手に送った質問と、その回答を書き起こしたものです。

※Dara選手からはローマ字で回答をいただきましたが、文意に影響がない範囲で、細部は編集部側で整えています

―― 在留カードを没収された12月7日、何があったのか聞かせていただけますか。

Dara選手:
 2017年12月7日、私は荷物を取るためにRampageのハウスに行ったのですが、その時に在留カードを渡すように言われました。在留カードがなくても飛行機には乗れるから大丈夫とか、それはRapmageのものとか言われましたが、知らない日本語が多く、私が全部理解するのは難しかった。でも、Burning Coreに相談したら「絶対に渡したらダメ」と言われました。
 私はそれをRampageに伝えましたが「在留カードを置いていかないと韓国帰るダメ!!」と言いました。私はそう言われ、仕方なく韓国へ帰るために在留カードを渡してしまいました。外に出ようとすると追いかけてきて逃げないか監視するし、ケンカみたいな声で圧力をかけるようにしゃべるし、私はずっとパニックでした。正直、2年以上いたチームの人間が、チームをやめると決まったら態度を変えるのはショックだったし怖かったです。



―― Rampageからは他にも何かハラスメント行為を受けましたか。

Dara選手:
 Rampageをやめた後で、必要な連絡があっても連絡をストップする。何日も見ないとか、返事があってもすごく遅い。だからrussian氏(※)より上の人にも連絡したけど、その人はrussian氏に謝れって言いました。在留カードを取られたのは私なのに、私がrussian氏に謝るのはおかしいです。その人に「選手も人間だから人権が欲しい」と言いました。しかしそれも無視でした。
 他にも私がRampageをやめてFAを発表するとき、Rampageは自分たちのイメージ守るために、ウソをつくように言いました。しかし私はファンにウソをついてRampageをやめるのはしたくないからノーといいました。Rapmageとは交渉が決裂して結局契約更新しませんでしたが、その時もトラブルはいっぱいありました。
 給料も何回もお願いしたけど、結局ライアットゲームズ(LJLの運営会社)が言うまでもらえなかった(9月分と10月分)。払ったと連絡あったのは1月31日です。えっと……他にもいっぱいありすぎて……。

※中村洋樹氏。ワイズエージェンシー(PENTAGRAMの運営元)取締役


―― なぜRampageはこのようなことをしたのだと思いますか。

Dara選手:
 交渉がダメになって、私がチームをやめると言ってから態度が変わったから、理由はそれだと思います。在留カードを正当な手順で返さないと、私は強制的に韓国へ戻されてしまう。Rampageがどのタイミングでカードを返すつもりだったか分からないですが、それをされたら私は新チームに合流するのが遅れたり難しくなったりするみたいでした。

―― FA宣言をする前はどうでしたか。

Dara選手:
 問題自体も多かったのですが、Rampageが本当に大きく変わったのは2017年からhAFu氏が入ったことです。コンビニとかご飯の店とかで、ミスしたとか態度悪いとかの理由を相手にあげて、大きい声で怒って店員をいじめます。彼にとってはゲームのような感覚で、いつのまにかrussian氏と34氏(Rampageのコーチ)もそこに入って笑う関係になっていました。弱い立場の人を困らせたり怖がらせたりしてみんなで笑う雰囲気を作るのが好きです。上の人間がそういうことをやって選手たちに見せつける。私も怖くて止められなかったし笑わないとダメな気がして一緒に笑うふりをしたことがあります。すみません。
 Evi(元Rampageの選手。現在はDetonatioN FocusMeに移籍)は「hAFuさんやめなさい、やめてください!」と止めたことがあります。あの雰囲気でも言うことができるEviはすごいと思います。

―― 最初はこんなチームではなかった?

Dara選手:
 最初はいろいろ問題はあるけど、環境ができていない、今から成長していくチームのイメージでした。だから環境は悪くても頑張ろうと思えた。russian氏を信頼していた時期は確かにあったし、彼と一緒に彼のチームでWCSへ行きたいと思っていました。
 しかし、2017年からは中の人がヤンキーになっていった。hAFu氏の性格がオーナーとかマネージャー、コーチ……に移っていってしまった感じです。
 私は人の悪口を言ったり人を困らせて遊んだり卑猥(エロくて汚いという表現でした)な話をするためにRampageに所属したつもりはありません。
 選手全員までもが同じになって欲しくないと願います。選手はファンがいてこそ選手ができるってことを忘れないでほしい。

―― 頭痛や吐き気がしてゲームがプレイできないとも書かれていました。今は体調はどうですか。

Dara選手:
 ひどいときは鼻血が毎日、何回も出ました。頭痛薬は覚えるのが難しいくらいいっぱい飲んだ。頭が痛すぎる時にはゲロも出ました。左の耳がおかしい時もありましたが、これはすぐ治りました。
 精神科に通うことも考えたけど、薬で眠くなったら選手とコーチの仕事ができません。私を助けてくれたBurning Coreを絶対1部リーグに昇格させたかったし、これは仕事だから、体と心のことはいったん我慢して、韓国に帰ってから考えようと思いました。今は病院やカウンセリングへ行っています。

―― Burning Coreに移ってからの待遇は変わりましたか。

Dara選手:
 Burning Coreのオーナーとかスタッフはすごく協力してくれました。私が風邪でつらい時、オーナーがすぐハウスに来て私を病院つれていってくれた時はすごく驚きました。 Rampageは店で買った薬を渡すだけで、「風邪になったら給料少なくするからね」と言われたこともあります。

―― 引退ツイートの中で「LJLに失望しました」とも書いていました。具体的にはどんなところですか。

Dara選手:
 ライアットゲームズは選手を守ることができません。LJLでは結局、強いチームの方が力が大きいです。Rampage(PENTAGRAM)がLJLから消えて一番困るのはライアットゲームズだから。
 在留カード以外の問題も全部ライアットゲームズに話しました。ライアットゲームズは「Rampageのそういう話はたくさん聞いてきているからDaraが話すことを全部信じる」といいましたが(※)、ずっとRampageを守っています。LJLにはRampageが必要だから、脅迫とかウソの情報で在留カードを泥棒しても3カ月のペナルティーで終わりです。ペナルティーの期間でも普通にペナルティーを受けた人が選手の配信に写ったり、前と変わらない生活をしています。
 謝罪があるかもしれないと最後の期待をして私は我慢を続けました。しかし、Rampageの選手は「ペナルティは気にしていない」「Rampageは良い組織」「誤解」と公共の場で発言したり、在留カードを話題にして笑う選手や、何の反省もなく自らを犯罪者チームですと自己紹介するコーチを見て、私はRampageの人にとってこのペナルティが何の効果もないと思いました。
 多くの人からRampageに関するメッセージをもらいました。しかし「怖い」と言うのです。私も同じで見るのも怖かったから、その気持ちはよく理解できます。
 安全や立場を守ってくれる期待がLJLにはないから日本で今の自分を守る手段は沈黙しかないのです。悪いって分かってるのにライアットゲームズが悪いチームを守るかぎりLJLは良くなりません。このままだったらまた私と同じ選手が出ると思います。

※LJLによると、正確には「全部信じるから、証拠を残して提出してほしい」という伝え方だったとのこと





 ――上記はあくまでDara選手の視点から見たものですが、もしもこれらが全て事実であれば、Dara選手が前チームから受けたトラウマは相当なものであったことがうかがえます。Dara選手からはこの回答の他にも、russian氏の上司とのチャット履歴なども提供してもらっています。

 一方、編集部ではPENTAGRAM(旧Rampage)側に対しても問い合わせを送っていましたが、こちらは「どういう方法かは協議中ですが、何らかのコメントを出す予定なのでそれを待ってほしい」との回答でした。


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