4年ぶりの同時公開に歓喜! ワレ「しんかい6500」と「よこすか」の“超スゲーところ”に肉薄す:キャプテンながはまのマニアックすぎるシリーズ(2/4 ページ)
“メカメカ”成分、超多め。(写真大盛り135枚)
古き良き時代の伝統と最新技術のハイブリッド船「よこすか」
水深6500メートルという大深度に潜航できるしんかい6500ですが、実は、しんかい6500単体では潜水できません。しんかい6500は、大深度潜水調査を実施するシステムにおける「パーツの一部」にすぎないのです。そのシステムを構成する重要なもう1つのパーツが支援母船の「よこすか」です。しんかい6500とタッグを組んで大深度潜水調査システムを構成します。
よこすかは全長105.2メートル、幅16メートル。こちらは、太平洋戦争中に建造された小型駆逐艦「松型」にほぼ相当するサイズです(ただし松型は幅9.8メートルと細身)。総トン数は4439トン、航海速力は約16ノット(時速29.1キロ)で、出力2206kWのディーゼルエンジンを2基搭載しています。
定員は船舶運行担当部署が45人に、研究者15人。舷門で上船者対応をしていた二等機関士さんに話を聞くと「いったん出港すると、長いときは3週間帰ってこられません」とのこと。いいなあ〜(心の底から)。就役は1990年とこちらもなかなかのベテランです。
よこすかの役割は、「しんかい6500を深い海へ送り、無事に戻らせて、採取してきたサンプルを有効に活用する」ためにあります。ですから、普通の船にはない「変わったところ」が随所にあるのです。
まず見ただけですぐに分かるのは、船尾に搭載した「Aフレームクレーン」です。その名の通りぶっとい鉄柱を「A」のように組み合わせた大きなクレーンで、空中重量26.7トンもあるしんかい6500を持ち上げて海面へ下ろし、そして大深度潜航から浮上帰還した船体を安全に引き上げるのに使います。
……そう書くだけだとなんだか簡単そうですが、うねりのある大海原での作業はとても危険です。そこに繊細なプロフェッショナルの技術を要します。調査スケジュールによっては荒れた海でも潜らなければならない。そういうときには、しんかい6500の潜航チームトップの「司令」と、よこすかのトップである「船長」とで「話し合って」どうするかを決めると機関長さんが教えてくれました。
これ以外にも見どころ満載です。例えば「前と後ろの2カ所にある船橋」。通常の航海中は前部船橋で操船します。前部船橋のすぐ後ろにはしんかい6500の潜航を管制する「総合司令室」を設けていますが、しんかい6500を海に降ろすときや海から引き上げるときには船体後部、Aフレームクレーンの前にあるしんかい6500格納庫の上の「後部船橋」で揚げ下ろし作業を見ながら微妙な操船ができるようになっています。
ちなみによこすかの煙突が船の中央から若干右舷側に偏っているのも、煙路(ディーゼル機関なので、正しくは排気管)をしんかい6500の巨大格納庫から避けるためです。
一般公開イベントでは、この他にも自律型深海巡航探査機「うらしま」や、無人探査機「かいこうMk-IV」「ハイパードルフィン」も展示され、実物を間近に見ながら運用スタッフや研究スタッフの“ディープな解説”を聞くことができました。来場者には小学生もたくさんいましたが、彼らが「けっこう高度な質問」を説明スタッフにぶつけていたのが大変頼もしかったです。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.