最近「ブラック校則」として注目度が上がっている「置き勉禁止」。岐阜市立岐阜小学校の保護者が、校則を変えるため荷物の重量調査をしてほしいと学校に掛け合ったところ、校長が調査を待たずに「置き勉自由化」を即決した対応に称賛が集まっています。
自由化を提案したのは、小学4年生の娘さんを持つ久津輪 雅さん。久津輪さんは、ある日娘さんの「授業科目が多い日は重くて大変」という言葉を耳にし、荷物の重さを測定してみました。すると、娘さんの体重が24kgであるのに対し、荷物の重さは6kg(体重の25%)もあることに気付きました。
久津輪さんはまず、PTAの役員仲間にメールで他の家庭の意見も聞いてみることにしました。すると「重すぎる」という意見が多数。また、授業参観日の懇談会で話題にしてみたところ、「忘れ物をしたくないので、全部詰めて通ったほうが良い」という意見の子もいることを知りました。
久津輪さんは学校側に荷物の重さについて実態調査をし、健康に影響があると判断できる場合は置き勉を自由化してはどうかと提案しました。歴史ある校則を変えるのですから、学校の説得はそれなりの長期戦になるはず……と思いきや、なんと校長先生が置き勉自由化を即決。調査の実施を待たず、次の役員会で正式に自由化が発表されました。フットワーク軽!
校長先生が職員などに配布したプリントには「低学年の先生方には、指導することが増えて申し訳ありません。しかし、児童の安全や健康は全てに優先します」と、明確な指針が記されていました。児童を第一に考える校長のこの言葉も、SNSでは大きな反響を呼びました。
あらためて、自由化に踏み切った校長先生にその理由を訪ねてみました。
――久津輪さんは事前調査を検討していたようですが、決断が早かったですね。
校長:重そうなカバンを持って登下校する子どもたちの姿は見ていましたし、調査をやっている間にも震災などが発生する可能性があるわけです。
ランドセルは軽いからこそ、頭の上に乗せて防災に役立てたり、あるいは素早く置いてダッシュで逃げられたりします。怖いことがあったときにすっと動けるようにするのは当然です。それに使わないものを置いていくというのも合理的で、当たり前のことですよね。
学校に掛け合った久津輪さんにも、お話を聞きました。
――こうしたルール改善を学校に掛け合う際、何が重要ですか?
久津輪:当初、小学校が置き勉を認めるには時間がかかると思っていたので、まずは保護者・教員にそれぞれアンケートを取って、なぜ置き勉を認めていないのか、持ち帰ることによりどんな効果があるのか、逆にどんな弊害があるのか、などを明らかにするつもりでした。
次に、全児童の荷物の重さを実態調査しようと考えていました。学校に押し付けるのではなく、保護者からボランティアを募って学校へ出かけていき、共同で実施するつもりでした。いま先生方は残業が非常に多く、ただでさえ大変だからです。そのようにしてデータを共有し、一緒に考える機会を持とうと思っていました。
また、全ての教科書をランドセルに詰めて登下校することに肯定的な保護者もいました。多様性を認めて子供たちや保護者が選択できるようにする方が、学校も保護者も賛成しやすいと思います。選べるということは、子どもが主体的に考えるきっかけになるので、良い効果もあると思います。
MAXで6kgだった久津輪さんの娘さんのランドセルは、水筒やプール道具を加えても3.7kgほどにまで減ったのだとか。宿題に必要な教科書だけを持ち帰り、それを翌日持っていくだけなので忘れ物も特にないそうです。
計画を練った上で学校に提案した久津輪さんと、その意図をくみ取り即座に実行した校長先生。こうした例が今後も増えると良いですね。
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