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広告主取材後にサイト消滅 関係者が語る「違法同人誌サイト」運営の手口 “有料ポイント制”で荒稼ぎも(2/3 ページ)

違法同人誌アップロードサイト被害者は「違法行為だと理解して」と悲痛な胸の内を告白。

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同人誌サイトに無断転載された被害者は今

――同人誌がA社が関与するサイトに無断アップロードされたと聞きました。

被害者「同人あっぷっぷ」などをはじめ、多数のサイトに転載されています。

――なぜ無断転載に気付けたのでしょうか。

被害者インターネット上での評判や感想、検索結果が見てみたくて、いわゆるエゴサーチ的に自分のサークル名を検索したところ、無断転載サイトが検索上位に出てきたことで気付きました。

――同人誌には「無断転載禁止」といった文言を使っていましたか。

被害者毎回必ず使っています。奥付部分に毎回記載しているのですが、オマケ漫画などが載っていてもそのページが転載サイトに掲載されることはほぼ無いです。ですがたまに載っていることもあり、盗人たけだけしいなと悪い意味で感心したこともあります。


違法同人誌サイト 被害者の同人誌。「無断転載」を禁じる旨が記載してあったがA社のサイトに無断転載される被害に遭った(被害者提供)

――削除依頼をどのような手順で出しましたか。

被害者サイトに削除申請フォームがあったので、そこにサークルの当事者であること、まだ通販サイトで委託販売が続いていること、不愉快であることなどを伝えました。サイトによっては名前などの入力フォームがあり、なぜこちらの個人情報を明かさなければならないのかと憤りました。また、そもそも連絡先を記載していないため削除依頼を出せないというサイトもあります。

――削除対応はスムーズでしたか。

被害者特に向こうからの反論などもなく、また謝罪のメールが来ました。謝るなら最初からやるなという話ですが。もちろん、サイトによっては謝罪メールなく無言で掲載が削除されていたり、無視して掲載し続けていることもあります。


違法同人誌サイト 「同人あっぷっぷ」から被害者に届いたメール。前述のテンプレと似ている感じも(被害者提供)

――無断転載によって発生したと考えられる被害についてはどう考えておられますか。

被害者とらのあなやメロンブックスなどで委託通販をしている作品については、5000〜1万回程度違法同人誌アップロードサイトで閲覧されていたので、頒布の機会は相当失われていると思います。また同じ画像データが使い回される形で他の違法サイトやアンテナサイトにも掲載されてしまうので、一度アップされてしまうとほぼ無間地獄に突入します。

 また同人誌は本来「本という物理媒体だし即売会や限られた場所でしか購入できないから、オタク以外の一般人が見る可能性は少ない」「何かが起きても作者が責任をもって対処できる」というものですが、無断転載サイトは誰でも閲覧できる他、データもいくらでも保存でき、いつまでも拡散され続けますので、そういった自然なゾーニングが一切できません。無断転載サイトに同人誌が掲載されてしまうと、われわれ作者個人の手で管理できる範囲を超えてしまうのです。

――現在も無断転載は続いていますか。

被害者続いています。削除申請フォームから依頼を出す際に「なぜ被害者の名前や情報を違法行為を働く加害者に明かさなくてはいけないのか」という憤りと警戒心が生まれたことから、今は主にDMCA申請(いわゆるGoogle八分)の方を行うようになりましたが、それでも別URLでアップされたり、別の違法サイトに転載されたりといたちごっこが続いています。

 またDMCA申請をするのにも個人情報とURLが必要で、そのURLを得るために違法サイトにアクセスしないといけないのですが、それすら加害者の利益になってしまうこと、また検索結果から消えるだけでURLそのものが消えるわけではないこと(サイト内からならアクセス可能)、という精神的徒労感から、最近では半年に一度程度の申請、完売した作品は放置といった状態にとどまっています。

――A社など、無断で同人誌を転載しているサイトに対して言いたいことはありますか。

被害者「有名サークルになった証だろ」「宣伝になっていいじゃん」「転載サイトで読むやつは結局サイトがなくなっても買わない」「二次創作のくせに声を大きくするな」と言われ、そうなのかな……と思ったこともありましたが、漫画村の件を見ているとそれは違うと思えるようになりました。一番辛かったことは、即売会の翌日に新刊が転載されていたことです。大好きな原作への愛情や情熱を寝る間も惜しんで注ぎ込んで必死になって作った同人誌は、二次創作ではあっても自分の心の分身であり、本当に大切な宝物です。それに共感して、サークルスペースに足を運んでくれたんだと大切な本を手渡した人々の中に、持ち帰ったあとすぐ本を引き裂いてネットにアップロードし、自分の利益にしている者がいたのだと思うと……腸が煮えくりかえります。

 そして同時に、サークルスペースまで足を運んで私の本を買ってくれる人々が、みんな信じられなくなりました。人間に紛れた人狼は誰なのか分からないのです。激しい疑心暗鬼に襲われ、またそういった感情を、本当に私の作品に共感してくれている側の人たちへも巻き込んで抱いていることに強い罪悪感を覚えます。

 自分の「好き」という気持ちを発露し共有しあえる楽しく幸せなはずの場所で、なぜこんな苦しみを覚えなくてはいけないのでしょうか。同人や二次創作は確かに趣味でグレーの世界ですし、自分が勝手に自己責任でやっていることです。原作側から勧告を受けたらすぐに責任を果たして対処する覚悟もあります。ですが、関係者でもない見ず知らずの人々からこんな暴力を振るわれ、心と作品を傷つけられてもいい理由にはならないと思うのです。違法転載サイトを運営する側の人々も、彼らに広告を依頼する会社も、転載サイトを利用している人々も、彼らを擁護する人々も、その行為が誰かの純粋な「好き」の心を、再起不能にできるレベルで傷つける暴力行為であることを、理解してください。同人誌の無断転載アップロードは、違法行為です。


「プレミアムフリーパス」導入サイトの広告出稿主を取材

 さまざまな証言を踏まえ、編集部では「プレミアムフリーパス」なる有料ポイントサービスを導入していた「BLDOG」というサイトに注目。「このサイトに入会すれば〇〇ポイント付与」といった形式で名前が上がっていた占いサイトの運営主に取材を申し入れました。

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